2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用を考慮したRNA干渉法による副甲状腺ホルモン産生制御法の開発
Project/Area Number |
22590916
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田中 礼佳 東海大学, 医学部, 講師 (10372947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 隆俊 東海大学, 医学部, 准教授 (50276854)
澤田 佳一郎 東海大学, 医学部, 講師 (10420952)
金井 厳太 東海大学, 医学部, 助教 (00535221)
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Keywords | 二次性副甲状腺機能亢進症 / 副甲状腺ホルモン / RNA干渉 |
Research Abstract |
本年度においては、二次性副甲状腺機能亢進症の発症と病態の進行に関わる重要な遺伝の網羅的な検索のための手法の開発および条件設定を行った。東海大学医学部腎・内分泌代謝内科において摘出された原発性および二次性の副甲状腺機能亢進症を呈する副甲状腺よりmRNAを抽出してcDNAライブラリーを作製し、これらを用いてそれぞれの病状に特徴的な遺伝子を絞り込むため、検体1間のcDNAサブトラクションを行った。現在、両組織間で発現量に差のあるcDNAの候補をいくつか得ており、これらの詳細な解析を行っている。この手法により異なる病態の組織に特異的に多くあるいは少なく発現される遺伝子の検出する手段が確立されれば、病態の発生から病状の進行の各段階における有効な遺伝子治療の策定に寄与するデータを提示することが可能になると期待される。このような解析のために、機能亢進症の病態進行度の異なるものや、PTH産生量が特に高いあるいは低いもの、whole PTH/intact P TH比の逆転が見られるもの、組織重量の大きいものなど特徴的な病態を示す検体を収集しており、まだ、当研究室で開発された副甲状腺細胞の長期培養システムを用いた二次性副甲状腺機能亢進症の正常化の過程における遺伝子発現の変化についても同手法による解析を行う予定で検体を収集している。副甲状腺細胞の株化については初代培養細胞へのSV40T遺伝子およびヒトテロメラーゼ逆転写酵素遺伝子の導入を試みたが、現在のところ株化したものは得られておらず、さらなる工夫が必要と思われる。また、副甲状腺細胞のマイクロRNAのプロファイリングについては、昨年の米国腎臓学会において、副甲状腺特異的なdicer遺伝子ノックアウトマウスの解析結果が発表され、マイクロRNAが副甲状腺での遺伝子発現調節に関与していない可能性が提示されたため、副甲状腺細胞のマイクロRNAプロファイリングを行うことの意義を含めた研究計画の見直しが必要になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育児休業等のため平成23年10月からの研究の開始となったが、研究環境の整備からやり直す必要が生じ、研究の開始が遅れた。また、副甲状腺特異的なdicer遺伝子ノックアウトマウスの解析結果が昨年の米国腎臓学会において発表され、マイクロRNAが副甲状腺での遺伝子発現調節全般に対して積極的な役割を果たしていないことが示唆されたために、副甲状腺細胞のマイクロRNAプロファイリングを行うことに意義が見いだせない可能性が生じ、研究計画の見直しが必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在cDNAサブトラクションにより得られている病態に特異的に発現される遺伝子の候補についての発現確認と解析を進め、この手法による遺伝子検索法の確立を目指す。万一、このcDNAサブトラクションが有効でない場合には、マイクロアレイ、Expressed Sequence Tag(EST)解析などの検索手法を比較検討して、効率的な遺伝子検索の手法を確立し、いろいろな病態と進行度の異なる検体組織、またそれらの培養細部に対して特異的な発現遺伝子を検索する。得られた遺伝子に関してRNA干渉法を用いてその機能を推定し、副甲状腺機能亢進症の発症や進行に関与するものを明らかにし、有効な遺伝子治療法の方策を検証する。また、株化副甲状腺細胞の確立の努力を継続する。マイクロRNAのプロファイリングについては研究実施の意義の有無を検証するための予備実験を行う予定である。
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