Research Abstract |
本研究の目的は,常染色体劣性遺伝性の家族性筋萎縮性側索硬化症の3家系における,原因遺伝子の同定である.そのために,ホモ接合性マッピングによる連鎖解析を行い,同定された候補領域に存在する全遺伝子のスクリーニングを行う.平成22年度は,候補領域に存在する約40遺伝子の全エクソンについて,特異的プライマーを設計し,gradient PCRを用いた条件検討により,均一な反応条件で遂行可能なゲノムPCRの系を確立した.また一方で,欠失・重複変異などのコピー数変異,遺伝子再構成などの検出のため,オリゴヌクレオチドプローブを用いたアレイCGHを作成した.その結果,次年度以降に変異解析に集中するための準備は整ったと考えられる.実際に,作製したプライマーおよびPCR条件を用いて,一部の遺伝子については,直接塩基配列解析法を用いた変異解析を開始した.本研究により期待される意義・重要性としては,次の様な点があげられる.本研究により,筋萎縮性側索硬化症の新規原因遺伝子が明らかになる可能性がある.特に,常染色体劣性遺伝性筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子変異は,孤発例にも存在する可能性があると考えられ,家族性のみならず孤発性の筋萎縮性側索硬化症の一部についても,原因が解明される可能性がある.その結果,筋萎縮性側索硬化症の新たな分子メカニズムを明らかにする手がかりが得られると考えられ,根本的治療につながる分子標的が同定される可能性があるという重要性を有する.
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