Research Abstract |
若年発症,緩徐進行性で,上位運動ニューロン障害及び下位運動ニューロン障害を両方呈している,常染色体劣性遺伝性家族性筋萎縮性側索硬化症の小家系に対して,SNPアレイを用いたハイスループット連鎖解析システム(SNP HiTLink)を応用し,連鎖解析を行ったところ,ゲノム上に470.1Mbの候補領域を見いだした.さらに,同様の臨床像を呈した2家系の発端者について,ホモ接合性マッピングを行い,前述の小家系の候補領域と重なる134Mbの領域を見いだした.同領域に存在する遺伝子の全エクソンに対して,特異的なプライマーを作成し,直接塩基配列解析法による変異スクリーニングを行ったが,明らかな変異は認められなかった。これらの結果から,これら3家系は臨床的には類似しているものの,遺伝的異質性があるものと考えられた.そこで,連鎖解析を行った小家系に対して,次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析を行い,全エクソンに存在する塩基置換を網羅的に同定することを試みた.全エクソンにおいて,データベース上に存在しない新規の塩基置換で,アミノ酸変化を伴うものを356個同定した.このうち,候補領域に存在し,複合ヘテロ接合性新規非同義塩基置換,あるいはホモ接合性新規非同義塩基置換を有する遺伝子を6遺伝子同定した.ただし,エクソームでキャプチャー出来ていないエクソンが641個存在し,これらに原因遺伝子変異が存在する可能性も否定できないため,今後これらのエクソンをどのように解析するのかが次年度への課題であると考えられた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,同定された塩基置換の,正常対照におけるスクリーニング,また他の家系における解析で変異を見いだすことが必要であると考える.そのために,正常対照260例におけるスクリーニングを行うとともに,原因遺伝子未同定のFALS 20家系における解析を追加する.ALSは遺伝的異質性が高いと考えられ,より多くの家系での解析が必要であるため,さらなる検体収集を目指す.
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