2011 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムダイナミクス異常説に基づく脊髄小脳変性症6型の病態解明
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22590924
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡瀬 啓 東京医科歯科大学, 脳統合機能研究センター, 准教授 (30376800)
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Keywords | 脳神経疾患 / カルシウム / 遺伝子 / 応用動物 |
Research Abstract |
本研究の目的は脊髄小脳変性症6型(SCA6)の病態発症機構として、プルキンエ細胞のCa_v2.1チャネル蓄積に伴うカルシウムダイナミクス異常に着目し、既存・新規SCA6マウスモデルの解析を通じて変異Ca_v2.1チャネルの輸送・分解・蓄積の異常及びその機構を明らかにし、病態生理学的意義を明らかにすることである。本年度の主な成果は以下の通りである。 (1)週齢の異なるSCA6-MPI-118QKIマウスよりプルキンエ細胞の分離培養を調整して、電気生理学的にプルキンエ細胞内へのカルシウム流入の程度を検討した。その結果、突起変性が始まる生後6週齢マウスプルキンエ細胞においても、カルシウム流入の程度は野生型マウスプルキンエ細胞と同程度であること。また変異チャネルの細胞膜への局在にも変化を認めなかったことからSCA6の病態発症期には変異チャネルの細胞膜への過剰な蓄積はおこっていないものと考えられた。 (2)前年度に引き続き変異Ca_v2.1発現の経時的変化や蓄積の過程をin vivoで明らかにするため、蛍光物質(venus)を変異Ca_v2.1のC末端に融合させた蛍光レポーター(MPI-118Q-venus)KIマウスの作製をすすめた。その結果F1マウスの作出、さらにF1マウスとCAG-Creマウスの交配からヘテロマウスを得ることができた。 (3)カテプシンBKOマウスとSCA6KIマウスとの交配により作製した2重変異(DMT)マウスの解析を進めた。その結果DMTマウスはSCA6KIマウスと比較して、小脳失調の発症が加速し、プルキンエ細胞変性の程度が悪化するとともに、リソソーム内の変異Ca_v2.1封入体形成も亢進していた。リソソーム機能が変異Ca_v2.1蓄積・分解やSCA6の病態に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに変異Ca_v2.1の蓄積や分解に関わる過程に関して、知見を得ることができた。さらに当初の予想とは異なるが、変異Ca_v2.1のプルキンエ細胞膜局在はSCA6の病初期には変化していないことなども判明しつつある。さらに蛍光レポーター付きSCA6ノックインモデルの作製をほぼ終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
ホモMPI-118Q-Venus KIマウスにおける蛍光タグ付き変異Ca_v2.1の細胞内局在の変化を経時的に解析することにより、SCA6における変異チャネルの発現・蓄積の過程を詳細に解明し、それらに関与する分子ついてのてがかりを得る。最終的には得られた知見を通じて変異Ca_v2.1の蓄積や分解に関与する分子をターゲットとした治療実験を開始する。
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Research Products
(7 results)