2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性症における脳内鉄サイクルの制御・調節障害のメタロミクス研究
Project/Area Number |
22590926
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
宮嶋 裕明 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90221613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 智 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40397386)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 鉄 / 神経変性症 / 無セルロプラスミン血症 / フェロポルチン / アルツハイマー病 / βアミロイド前駆体蛋白質 / トランスフェリン |
Research Abstract |
鉄は、生命維持に必要な種々の蛋白質、酵素に必須であるが、一方、活性酸素やフリーラジカルの産生を強力に触媒してアポトーシスや細胞膜の破壊、蛋白質の凝集などを促進する。したがって、生体内の鉄は欠乏あるいは過剰にならないように厳密に調整されている。われわれが脳内に鉄蓄積をきたす神経変性症のaceruloplasminemiaを1987年に報告した頃より、鉄関連蛋白質が相次いで同定され、その機能と相互作用について明らかになってきた。ただ未だに中枢神経系の鉄代謝における詳細な制御・調節機構は未解明なところが多い。 今回われわれは、セルロプラスミンの脳内での機能を明らかにした。セルロプラスミンは主にアストロサイトで発現し、(1)細胞からの鉄の動員(細胞内から細胞外への排出)に関与する、(2)鉄酸化活性を有し2価鉄を3価鉄にする、(3)直接トランスフェリンに結合しない、(4)細胞膜の鉄トランスポーターであるフェロポルチンを安定化する、(5) GPI結合型として細胞膜に結合して細胞外に存在し、フェロポルチンを介して排出された2価鉄を3価鉄に酸化してトランスフェリンに結合させる。脳内には血中の鉄イオンが血管上皮のフェロポルチンを介して細胞間隙に2価鉄として取り込まれ、あるいはアストロサイト内の鉄がフェロポルチンを介して2価鉄として動員され、GPI結合型セルロプラスミンによって酸化されて3価鉄になりトランスフェリンに取り込まれ、神経細胞に運ばれる。神経細胞からフェロポルチンを介して細胞外へ動員された鉄はβアミロイド前駆体蛋白質によって酸化され、再びトランスフェリンに結合してアストロサイトへ運ばれる。脳内の1日鉄必要量は血中から取り込む量では足りず、半閉鎖的な脳内鉄サイクルを形成することで鉄を再利用している。今回はこのような脳内の鉄再利用メカニズムの一端を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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