2011 Fiscal Year Annual Research Report
慢性脳低還流状態における内皮細胞・血液脳関門障害の病態解明
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22590929
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
矢田 健一郎 三重大学, 大学院・医学系研究科, 産学官連携研究員 (40467361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨本 秀和 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80324648)
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Keywords | 慢性脳低灌流 / 血管内皮細胞 / 脳血液関門 / 二光子レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
白質軟化症発症(脳血管性認知症)の病態メカニズムとして慢性脳低灌流状態が大きな病因となっていることが推測されている。本研究は、慢性脳低灌流状態における脳・血管系の病態を二光子レーザー顕微鏡を用いてreal timeに観察を行うことを目的とする研究である。昨年度の本研究では、慢性脳低灌流状態では、静脈系の血管壁を中心に白血球の著明なrollingとadhesionが起こることを確認した。本年度は、昨年度と同様の両側頚動脈狭窄/慢性脳低灌流モデルを用いて、一か月程度の長期間の観察を行った。また、血流低下の程度と血管の状態(脳循環代謝予備能、血管拡張性)の関係の観察も行った。 Green Mouseを用いて、両側総頚動脈に外側から、コイルを装着させ、慢性脳低灌流状態を作成した。狭窄直後、狭窄後3日目、狭窄後1か月で観察を行った。昨年度は、1週間程度のFollowで、白血球の活性化が認められることを確認していたが、一か月のFollowでも、遷延性に白血球のRollingやAdhesionが静脈系を中心に観察されることを確認した。また、二次元ドップラー血流計を用いて、脳血流の低下の程度を経時的に観察行った所、血流低下の程度は時間経過とともに少しずつ改善することが確認された。同時に行った二光子レーザー顕微鏡の結果からは狭窄直後では、動脈系では、血管の収縮が認められ、静脈系では、逆に血管の拡張が認められた。血流改善に伴い、動脈が拡張することが認められた。慢性脳低灌流状態においても、動脈、静脈において脳循環代謝予備能が働いていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性低灌流脳を二光子レーザー顕微鏡を用いて観察する実験系はほぼ確立できた。実験結果からは、慢性炎症状態が推測された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究結果から、慢性脳低灌流状態では慢性炎症状態にあり、白血球がその中心的役割を担っていることが推測された。今後の研究としては、白血球の動態を中心に二光子レーザー顕微鏡を用いて観察すること、また、慢性炎症のメカニズムを生化学的に検索することを予定している。
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Research Products
(1 results)