2011 Fiscal Year Annual Research Report
核―細胞質間シャトル機能障害に立脚したTDP-43神経細胞毒性機構の解明
Project/Area Number |
22590932
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
長野 清一 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第五部, 室長 (40362727)
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / TDP-43 / RNA / 神経突起 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の神経細胞で異常局在・凝集するRNA結合蛋白であるTDP-43による神経突起(軸索および樹状突起)へのRNA輸送機能およびその標的RNAの解析を継続している。昨年度確立したchamber insertを用いた区画培養よりマウス胎児大脳皮質神経細胞神経突起分画を回収し、total RNAを精製、TDP-43 shRNAを用いた同蛋白の発現抑制により量が減少するmRNAをマイクロアレイ解析により同定した。その結果蛋白翻訳機能に関連する複数の遺伝子mRNAの減少が見られた。ALSの神経細胞内封入体に存在する異常断片化TDP-43の過剰発現によっても大脳皮質神経細胞の突起でこれらのmRNAは減少を示し、ALSにおいてはTDP-43の異常局在・凝集に伴う神経突起へのこれらmRNAの輸送機能の障害、さらにはそれによる同部位での蛋白合成能の障害が発症要因となっている可能性が示唆された。これら複数の標的mRNAは共通の配列によりTDP-43に認識され輸送および翻訳制御を受けていることが考えられ、現在その詳細な制御機構の解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TDP-43により神経突起へ輸送される標的mRNAを既に同定しており、そのALSとの関連を示唆するデータを得ている。標的mRNAの神経突起での局在、その運搬機構や機能に関しても解析を開始しており、おおむね計画通りの達成度と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、さらに標的mRNAの神経突起での局在、機能解析を進め、その生理学的意義を明らかにするとともにALSの病態機序との関連を明らかにし、同疾患の新規治療法の開発につなげていきたい。
|