2010 Fiscal Year Annual Research Report
全身病としてのパーキンソン病における神経終末障害とアストログリア様細胞の関与
Project/Area Number |
22590934
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮崎 育子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40335633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅沼 幹人 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00273970)
中村 一文 岡山大学, 岡山大学病院, 講師 (10335630)
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Keywords | パーキンソン病 / ロテノン / アストログリア / 末梢神経障害 / 腸管神経叢 / ドパミン神経細胞 |
Research Abstract |
ロテノン慢性投与パーキンソン病モデルの中枢・末梢神経障害およびアストログリア(様細胞)の形態変化 雄性Lewis系ラット(7週齢)にロテノン(3mg/kg/day)を浸透圧ミニポンプを用いて3週間慢性皮下投与したところ,黒質のチロシン水酸化酵素(TH)陽性神経細胞数,線条体のTH陽性シグナルに有意な変化はみられなかったが,線条体ドパミントランスポーターのシグナルが低下した個体がみられた.回腸,上行結腸の切片を用いてbeta-tubulin IIIおよびvesicle acetylcholine transporter(VAChT)の免疫染色を行い,腸管神経叢の確認およびアセチルコリン神経障害を評価した.その結果,ロテノン投与群の回腸および上行結腸の腸管神経叢において神経細胞のbeta-tubulin III陽性シグナルの有意な低下が認められた,さらにアストログリアのマーカーであるGFAP,S100bの免疫染色により,腸管神経叢周囲にアストログリア(様細胞)の局在を認め,ロテノン投与群においてGFAP陽性アストログリア様細胞が増加していた 中枢の初代培養細胞を用いたロテノン神経障害およびアストログリアの形態変化 ラット中脳神経細胞単独培養系,中脳神経細胞と中脳アストログリアの共培養系および中脳神経細胞と線条体アストログリアの共培養系に,それぞれロテノンを曝露した.ロテノン曝露により中脳神経細胞単独培養系,中脳神経細胞と線条体アストログリアとの共培養系では神経毒性は認められなかったが,中脳神経細胞と中脳アストログリアの共培養系では有意なTH陽性細胞数の減少がみられた 腸管神経叢の初代培養細胞を用いたロテノン神経障害およびアストログリア(様細胞)の形態変化 ラット胎仔の腸管を用いて腸管神経叢の初代培養系を確立した.神経細胞はbeta-tubulin IIIおよびVAChTの免疫染色により,またアストログリア様細胞はGFAPおよびS100bの免疫染色により確認した.腸管神経細胞単独培養系および腸管神経グリア共培養系にロテノンを曝露したところ,腸管神経細胞単独培養系では変化は認められなかったが,神経グリア共培養系ではロテノン曝露により著明なbeta-tubulin III陽性神経細胞数の減少がみられた.また,ロテノン処置によりGFAP陽性細胞の増加がみられた. 以上の結果より,ロテノン神経毒性は中枢よりも末梢神経の方が脆弱であること,また神経毒性発現にはアストログリア様細胞が関与していることが示唆された.
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Research Products
(22 results)