2011 Fiscal Year Annual Research Report
チロシン水酸化酵素の細胞内安定性を調節する新規制御機構の解明と神経細胞死
Project/Area Number |
22590946
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中島 昭 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (20180276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (10247637)
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Keywords | チロシン水酸化酵素 / 細胞内安定性制御機構 / リン酸化 / プロテアソーム分解 |
Research Abstract |
パーキンソン病では中脳黒質ドーパミン神経が選択的に障害(細胞死)を受けることから、この細胞死にはチロシン水酸化酵素(TH)の機能異常が関与する可能性が疑われている。最近、脳神経細胞内に存在する蛋白質の約7%を占める14-3-3プロテインが、THの細胞内安定性を制御することが発見された(細胞内安定性とはプロテアーゼ分解性の意味で使用している)。加えてこの制御には他の細胞内蛋白質の関与も推定されている。また、神経変性疾患の原因としてユビキチン・プロテアソーム系の異常による細胞内蛋白質の異常蓄積が指摘されている。この様に神経変性疾患におけるドーパミン神経の障害にはTHの細胞内安定性の異常が関係していることが推定されるが、THの細胞内安定性の制御メカニズム自体が殆どわかっていない。 平成22年度の研究において、THの細胞内安定性の制御にはTHのN末端領域に位置するセリン残基のリン酸化が重要な働きを有すること、また、このリン酸化がトリガーとなり、ユビキチン・プロテアソーム分解系でTHの分解が始まることを明らかにした。リン酸化がどの様に制御されているか、また、どの様な細胞内蛋白質がその制御に関わっているかについては、14-3-3プロテインおよびαシヌクレインに焦点を当てて精査を進めた。 新たなTH制御機構を詳細に解明することができれば、その制御機構が破綻した状況を推測出来ることができる。これはパーキンソン病などの神経変性疾患のみならず、統合失調症等のドーパミン合成の異常と関連した疾患における発症メカニズムを解明する上でも重要な情報を提供すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チロシン水酸化酵素のリン酸化が生じると、本酵素がユビキチン・プロテアソーム分解系で処理されることを証明することができた。一方、このリン酸化に関与する細胞内蛋白質の同定については現在精査している。
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Strategy for Future Research Activity |
チロシン水酸化酵素の細胞内安定性(細胞内プロテアーゼ分解)には本酵素のリン酸化が関与することを発見したので、リン酸化に関連する細胞内蛋白質を対象として精査するものとする。
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