2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22590947
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
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Keywords | パーキンソン病 / Perry症候群 / ダイナクチン遺伝子 |
Research Abstract |
【Perry症候群の臨床症状の多様性の検討】 平成23年度は新たに家系調査を行い、Neurology掲載論文のFUK-1とKUM家系のつながりが確認され、1つの大家系であることが判明した。その臨床症候を国際学会に発表した。またOMT、KUM家系の睡眠ポリグラフ検査を行い、睡眠異常の検討を行った。さらに同家系におけるドパミン系薬物の反応性と治療中に出現する特徴的な症状、衝動制御障害(病的購買、病的賭博、punding)の頻度が高いことが判明し、24年度日本神経学会に報告予定である。これらの特徴は、孤発性パーキンソン病でも出現し、両者の共通した病態が示唆された。平成23年1月に開催されたPerry症候群国際シンポジウムの成果にのっとり、診断基準作成を準備中で、主要徴候a.左右対称性のL-DOPA反応性パーキンソン症候群、b.無気力あるいはうつ病の合併、c.睡眠障害、d.体重減少の4項目で、支持症候として、a.家族歴、b.進行の早いパーキンソン症候 c.50歳未満の発症、d.夜間の呼吸困難あるいは無呼吸の存在、e.日中の過眠、f.自殺企図、g.自律神経障害 h.睡眠ポリグラフにおける中枢性低換気及び睡眠ステージ3、4、REM睡眠潜時の著しい低下はほぼ固まった。 【ダイナクチン変異体導入細胞の作成】 HeLa細胞におけるダイナクチンの野生株及び変異株の導入細胞作成を行い、細胞質に凝集塊を確認した。ダイナクチンWTでは凝集体は観察されなかったが、変異型ではいずれも核周囲に凝集体形成を確認した。また異なるDCTN1変異ごとに凝集体の形態が大きく異なっていた。今後もダイナクチン機能異常としての凝集(loss of function)か、変異蛋白に凝集性があり、toxic gain off unctionの結果生じるものかの知見が得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床部門ではフォロー中のFUK-1家系が世界で最も大きなPerry症候群家系であることになり、その臨床症候の多様性とそこから得られるこの疾患特性、さらに診断基準の作成を当初の計画通りに進められている。基礎部門においては、ダイナクチン変異体導入細胞の作成を達成し、今後その細胞の機能異常の解明を検討する基礎とすることができる。パーキンソン病の新規関連遺伝子DCTN1の臨床、基礎の新規知見は今後孤発性パーキンソン病の病態解明に寄与する可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方法としてはPerry症候群の臨床病理的特性と多様性を検討すると同時に、培養細胞を用いた、遺伝子導入による細胞生存の条件や薬物によるレスキューなどの手法を利用して、遺伝子-表現型の関連を検討に治療薬の可能性も追求する。これまでの検討からこのPerry症候群はLewy小体の出現しない家族性パーキンソン病の中でもっとも臨床的に孤発性パーキンソン病に類似しており、孤発性パーキンソン病の病態との関連も明らかにする必要がある。
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Research Products
(1 results)