2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590952
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
冨山 誠彦 弘前大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (40311542)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 陽 弘前大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (80422062)
杉本 一博 弘前大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (70271799)
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Keywords | パーキンソン病 / 皮膚 / 生検 / αシヌクレイン |
Research Abstract |
パーキンソン病患者44例および多系統萎縮症患者15例から皮膚生検を行った。生検皮膚をホルマリン固定し、パラフィン封埋した後、切片を作成し、リン酸化αシヌクレイン抗体を用いて免疫染色を施行した。レビー病理(Lewyneurite)を光学顕微鏡で検索し、パーキンソン病2例に確認した。一方で、多系統萎縮症の患者でLewyneuriteは認めなかった。αシヌクレイン凝集の検出感度を改善する目的で、生検皮膚をザンボニ液で固定し、凍結切片を作成、リン酸化αシヌクレイン抗体とPGP-9.5抗体(神経軸索のマーカー)を用いて2重蛍光免疫組織化学を行い、位相差顕微鏡で検索することにより、神経線維に局在するリン酸化αシヌクレインの凝集を検出することを試みた。神経線維上の明らかなαシヌクレインの凝集はパーキンソン病の2例に認められたに過ぎなかった。また多系統萎縮症の患者皮膚では、神経線維上にαシヌクレインの凝集は認められなかった。以上より、αシヌクレインはパーキンソン病患者では皮膚の神経線維に凝集することはあるが、その検出頻度は低く、皮膚生検でパーキンソン病を病理診断することは難しいことがわかった。この原因として、パーキンソン病では皮膚の神経線維の脱落が早期に起こっていることが考えられる。一方で、多系統萎縮症では、皮膚神経の脱落はほとんどみられず、皮膚の神経密度の定量的計測が、両疾患の鑑別(早期には鑑別が困難であり、両疾患の予後は大きく異なるため、早期の鑑別診断が重要である)に有用であることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーキンソン病皮膚でのαシヌクレインの凝集の検出による診断についての結論が出せた
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、パーキンソン病の皮膚では神経の脱落が明らかであることがわかった。しかし多系統萎縮症では神経の脱落は見られない。従って皮膚の神経密度を定量的に検討することが、パーキンソン病と多系統萎縮症の鑑別に有用であることが推定されるため、今後は皮膚生検組織を用いて、上記の2疾患の鑑別での有用性を検討する予定である。
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