2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590958
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
上野 正樹 香川大学, 医学部, 准教授 (30322267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪本 晴彦 香川大学, 医学部, 教授 (60106549)
黄 政龍 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10271511)
小野寺 正征 香川大学, 医学部, 助教 (40359922)
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Keywords | オステオポンチン / 血管性認知症 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
血液脳関門障害を伴う血管性認知症の治療目的のため、まず、血管性認知症モデルとして汎用されている脳卒中易発症系自然発症高血圧ラット(SHRSP)の海馬の血液脳関門障害血管にて発現が亢進しているオステオポンチンのペプチド合成を試みた。合成部位としては、マウス脳の脳梗塞治療に有効であった幾つかの配列を参考にして、ラットでは、ある特定の20のアミノ酸残基が適していることを明らかにして、その合成ペプチドを得た。そして、その合成ペプチドをウサギに免疫して、それに対する抗体を二種類作成した。いずれもオステオポンチンを認識していることは確認できている。オステオポンチンは、脳障害性に働く可能性と脳保護的に働く可能性と、相反する作用を併せ持つ可能性が指摘されており、オステオポンチン蛋白全長の中のどの部位を治療に用いるかは、非常に重要なことと考えられる。更に、オステオポンチンを強制発現するアデノウイルスベクター作成に成功した(オステオポンチンを発現していることは確認した)。また、オステオポンチン発現に影響が考えられる物質の検討が必要であるため、血液脳関門障害血管で発現亢進している分子の検索も行っており、LDL受容体の発現が亢進していることが今回明らかとなった(Histochem Cell Biol 2010 ; Curr Med Chem 2010)。更に、オステオポンチン治療に併用予定のアンギオテンシン受容体の阻害剤(ARB)が脳内で効果を発揮し、血液脳関門障害及び認知機能を改善させることが確認できた(Hypertens Res 2010 ; Am J Hypertens 2011)。オステオポンチン単独での投与実験の準備も整いつつあり、更に、これらの実験結果より、LDL受容体の発現の調節やARBの投与により、オステオポンチンと種々の薬剤の併用でより効果的な治療が行える可能性が示唆される。
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Research Products
(9 results)