2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590965
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 彰一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40119962)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン疾患 / オートファジー / LC3 / P62 / autophagosome / autolysosome / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
【目的】筋萎縮性側索硬化症(ALS)におけるオートファジーの関与に関しては、いまだよく分かっていない。今回、孤発性ALSの脊髄前角細胞の変性過程にオートファジーが関与しているかどうかを明らかにする。 【方法】孤発性ALS12例(年齢49-82歳:平均66.8歳)と対照15例(年齢48-83歳:平均70.2歳)の腰髄(L1-L5)を、抗LC3抗体と抗p62抗体を用いて免疫組織学的に検索した。また、死後6時間以内に剖検された孤発性ALS16例(年齢49-83歳:68.7歳)と神経疾患以外の疾患で死亡した対照15例(年齢44-80歳:62.7歳)の脊髄前角細胞を電顕で観察した。 【結果】ALS症例では、正常と思われる前角細胞および変性した前角細胞の細胞質がときにLC3で陽性に染色された。ALSに特徴的なBunina小体、skein-like inclusionはLC3で陰性であったが、一部のround bodyの辺縁部が陽性に染色された。p62抗体ではround bodyやskein-like inclusionが陽性に染色されたが、Bunina小体は染色されなかった。電顕的観察では、ALS16例全例でオートファジーが認められ、とくに、変性した前角細胞の細胞質でよくみられた。2重の膜で囲まれたautophagosomeや単膜で囲まれたautolysosomeがみられ、内部にはミトコンドリアやリボゾーム様構造物などの細胞小器官が観察された。また、オートファジーはALSに特徴的な封入体と関連してみられた。他方、対照例では、正常と思われる前角細胞の細胞質にオートファジーは認められなかった。 【結論】孤発性ALS症例の脊髄前角細胞では共通してオートファジーの賦活化が認められたことから、孤発性ALSにおける運動ニューロンの変性の病態機序にオートファジーの関与が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回、ヒト孤発性ALSの脊髄前角細胞を免疫組織学的および電顕で観察した。ALSの前角細胞ではオートファジーが賦活化されていることから、オートファジーが孤発性ALSの運動ニューロンの変性の病態機序に関与していることを証明し、米国の神経病理学会誌(Journal of Neuropathology and Experimental Neurology70:349-59,2011)に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
孤発性ALS脊髄運動ニューロンでは、AMPA受容体のサブユニットであるGluR2の未編集が起こり、AMPA受容体のCa2+透過性が亢進し、神経細胞死が生じると考えられている。孤発性ALSのRNA編集の低下はadenosine deaminase acting on RNA type2(ADAR2)活性低下による。運動ニューロン選択的なADAR2遺伝子のconditional knockout mouseを免疫組織学的および電顕的に検索することにより、ADAR2活性低下が運動ニューロン死の直接原因かどうかを検討する。
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Research Products
(5 results)