2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590965
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 彰一 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (40119962)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / ADAR2-knockout マウス / AMPA受容体 / オートファジー / autolysosome / autophagosome / LC3 / p62 |
Research Abstract |
【目的】:孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスであるコンディショナルADAR2ノックアウトマウスの運動神経細胞死にオートファジーが関与しているかを検討する。【方法】:ホモ接合体ADAR2ノックアウトマウス(AR2)(15週、n=2、140週、n=2)、ヘテロ接合体ADAR2ノックアウトマウス(AR2H)(14週、n=2、17週、n=2、74週、n=2)および対照マウス(12週、15週、16週、74週、140週、それぞれn=2)の頸髄を光顕および電顕で観察した。また、LC3、Atg5、Atg7の各種抗体を用いて脊髄前角をウエスタンブロットで解析した(AR2、n=2、対照マウス、n=2)。【結果】:AR2マウス(15週)では、前角細胞の細胞質が抗LC3抗体で染色され、AR2Hマウスでは、前角細胞の細胞質が抗LC3抗体に加えて、抗p62抗体でも陽性であった。AR2マウス(15週)の脊髄前角のウエスタンブロットでは、Atg5、Atg7およびLC3-IIなどのオートファジー関連蛋白が対照例に比較して有意に増加してみられた。電顕では、AR2およびAR2Hマウスの前角細胞の細胞質で、2重膜で被われたautophagosomeや単膜で被われたautolysosomeなどのオートファジー関連の構造物がみられた。これらのオートファジー関連の構造物は、病後期よりも病初期でより頻繁に認められた。対照例では、前角細胞の細胞質や有髄性軸索内にごく稀にautophagosomeがみられた。【結論】:コンディショナルADAR2ノックアウトマウスでは、カルシウム透過性AMPA受容体を介してCa2+の透過性が増加することにより、運動ニューロンの細胞内でオートファジーが有意に賦活化およびupregulateされ、運動ニューロンの細胞死に関与しているものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)のモデルマウスであるコンディショナルADAR2ノックアウトマウスの頸髄を免疫組織学的、電顕的およびウエスタンブロットで観察し、同マウスでは、カルシウム透過性AMPA受容体を介してCa2+の透過性が増加することにより、運動ニューロンの細胞内でオートファジーが有意に賦活化およびupregulateされ、運動ニューロンの細胞死に関与している可能性を証明した。これらの結果は従来報告のないuniqueな所見であり、ALSにおける運動細胞死の病態機序の解明に寄与するものであり、第2回 International Symposium on ALS/MND (Chicago)および第6回 International Symposium on Autophagy (Okinawa)の国際学会で発表した。 以上のことから、本研究は、本研究課題の当初研究目的をほぼ達成していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
TDP-43蛋白のlossはALSの病態機序に密接に関連していると考えられている。ALSのモデルマウスであるTDP-43コンディショナルノックアウト(TDP CKO)マウスの脊髄(頸髄および腰髄)を光顕、免疫組織学的、ウエスタンブロットおよび電顕で血液脊髄関門を観察することにより、TDP-43蛋白のlossが血液脊髄関門の変化および運動ニューロン変性の病態機序に関与しているかを検討する。 方法として、前発症期前期、前発症期後期、発症期前期、発症期後期のTDP-43 CKOマウスの4グループ、および年齢を適合させたwild type マウスの脊髄を灌流固定し、光顕、免疫組織(抗MAC-2抗体)、電顕およびtight junction proteinの抗体を用いたウエスタンブロット法で観察する。おそらく、TDP-43 CKOマウスの脊髄前角細胞の変性過程に血液脊髄関門の障害が関連しているものと思われる。
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Research Products
(9 results)