2011 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性心筋症の発症機序における脂肪分化関連蛋白(ADRP)の機能解析
Project/Area Number |
22590972
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
鈴木 仁弥 福井大学, 医学部, 助教 (20293417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 貞夫 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (50303376)
小泉 勤 福井大学, ライフサイエンス支援センター, 准教授 (40126579)
弘瀬 雅教 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (40273081)
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Keywords | 脂肪毒性 / 脂肪滴 / エネルギー代謝 / 心筋症 |
Research Abstract |
糖尿病性心筋症は心筋細胞内に脂肪が蓄積して脂肪毒性から機能障害をきたす心合併症である。心筋に発現する脂肪滴関連蛋白ADRPの機能を解析するため、心筋特異的にADRPを過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスと全身性ADRP-KOマウス(KO)にストレプトゾトシンを投与して糖尿病を誘発し、3週間後に心筋を解析した。 昨年度までの研究から、Tgマウスの心筋は非糖尿病状態においても細胞内ミトコンドリア周囲に著明な脂肪滴の蓄積を認めること、しかしながら糖尿病化しても心収縮能の低下は野生型(Wt)マウスと同レベルであることを確認した。 本年度は糖尿病に伴う心筋遺伝子発現の変化をマイクロアレイにより詳細に解析した。その結果、糖尿病誘発によりWt心筋で810個、Tg心筋で1141個の遺伝子発現が2倍以上変化した。KEGG pathway頻度解析の結果、Wtで糖尿病化に伴い変化した遺伝子群は、PPAR signaling, Ca signaling,拡張型心筋症など17 pathway内に有意に多く存在したが、Tg心筋において糖尿病で変化した遺伝子群が含まれるpathwayはWtと大きく異なり、2 pathwayのみがWtのものと同一であった。 また、心機能を頸動脈より挿入した圧センサー付きカテーテルにて解析した結果、糖尿病状態における心収縮能はTgとWtで同等であった。糖尿病化したKOマウスの心収縮能は、エコーよる解析ではWtと同等であった。 以上より心筋ADRPは細胞内脂肪滴の蓄積を誘導するが、糖尿病に特徴的な心筋遺伝子発現を抑制し、心筋障害を軽減する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病化したADRP過剰発現/欠損マウスを用いた心臓の解析がほぼ計画通り進行しており、糖尿病性心筋症の発症機序におけるADRPの役割について新しい知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
ADRP-Tgマウスを用いた実験はほぼ終了したが、KOマウスの機能解析実験、遺伝子発現実験は現在進行中である。本年度はKOマウスの解析を完了させ、論文にまとめる予定である。
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