2011 Fiscal Year Annual Research Report
プログルカゴン遺伝子由来ペプチドの糖代謝における役割の解明
Project/Area Number |
22590974
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾崎 信暁 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 特任准教授 (70378082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (40203707)
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
清野 祐介 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80534833)
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Keywords | インスリン分泌 / GIP / グルカゴン |
Research Abstract |
平成22年度に、プログルカゴン遺伝子由来欠損マウス(Gcg^<gfp/gfp>)は良好な耐糖能を示し、その機序に、GIPシグナルの増強によるインスリン分泌亢進が関与することを報告した。さらに、GIPが異所性に膵β細胞に発現することも明らかにした。平成23年度は、その機序を詳細に検討した。 1.膵島由来GIPがインスリン分泌を促進するのか? まず、膵局のおけるGIP発現とGIP分泌をELISA法を用いて検討した。Gcg区fP/9fPマウスの膵島におけるGIP含有量の増加と培養液中へのGIP分泌を確認した。また、mRNAレベルでも、GIP発現を確認できた。 次に、膵島由来GIPがインスリン分泌を促進しているかを明らかにするため、GIP拮抗薬である(ho3)GIPおよびc酬Pシグナルの拮抗薬であるRp-c酬Pを用いて、単離膵島からのインスリン分泌を検討した。 (Pro3)GIPはGcg^<gfP/gfp>マウスの膵島からのインスリン分泌亢進を挿制しなかったが、Rp-cAMPはほぼ完全に抑制した。さらに、GIP受容体欠損マウス(Giprイー)と交配し、ダブル欠損マウス(DKO)を作成し、インスリン分泌能を評価した。Gcg^<gfp/gfp>マウスで認められたブドウ糖負荷時のインスリン分泌亢進は、DKOマウスにおいて消失していた。単離膵島からのインスリン分泌亢進も、DKOマウスにおいて、ほぼ完全に抑制された。膵島由来GIPが、本モデルにおけるインスリン分泌亢進に寄与することが示唆された。 2.なぜ、GIPは膵β細胞に異所性に発現するのか? まず、グルカゴンシグナルおよびGLP-1シグナルの欠如が,膵β細胞におけるGIPの異所性発現の原因と考え、Gcgr^<-/->、Glplr^<-/->、Gcgr^<-/->、Glplr^<-/->マウスの膵島におけるGIP発現を検討した。これらのマウス膵島のβ細胞には、GIP発現を認めなかった。 膵β細胞における異所性GIP発現に、グルカゴンおよびGLP-1シグナルは関与しないことが、明らかとなり現在、異所性GIP発現の機序について、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度に本モデルにおける糖代謝のメカニズムを解明し、平成23年度以降、膵島由来ペプチドをレスキューし、グルカゴンおよびGLP-1の作用を検討する予定であった。異所性に発境するGIPが本モデルの糖代謝に重要な役割を果たすことを明らかにし、その発現メカニズムを解明する必要があり、研究の進捗状況が遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓における糖代謝について、検討する予定である。 本モデルの糖代謝における重要な課題は、GIPの分泌亢進のメカニズムを明らかにすることである。そのためには、膵島(できれば、膵B細胞)に発現する遺伝子を網羅的に解明する必要があり、マイクロアレイを用いた解析を考えている。
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Research Products
(3 results)