2011 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレス関連遺伝子多型の集積が糖尿病大血管症の発症・進展に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
22590980
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
片上 直人 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (10403049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金藤 秀明 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80448034)
松岡 孝昭 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10379258)
安田 哲行 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30448055)
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Keywords | 酸化ストレス |
Research Abstract |
糖尿病等で惹起される酸化ストレスは、心筋梗塞発症に重要な役割を担う。われわれは、酸化ストレスに関連する5つの遺伝子多型に注目し、これらの遺伝子多型が冠動脈イベント発症に及ぼす影響について検討した。 508人の日本人2型糖尿病患者(男性68.5%、平均年齢61.4歳)を対象に、酸化ストレスに関連する5つの機i能的な遺伝子多型(glutamate-cysteine ligase modifier subunit (GCLM) C-588T, manganese superoxide dismutase (SOD2) Val16Ala, endothelial nitric oxide synthase (NOS3) G894T, NAD(P)H oxidase p22phox (CYBA) C242T, myeloperoxidase (MPO) G-463A)と冠動脈イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、冠血行再建術)の新規発症との関連を縦断的に評価した。 観察期間(平均6.0年)中に24件の冠動脈イベントが発生した。各多型は、単独では冠動脈イベント発症と有意な関連はなかった。一方、酸化ストレスを促進させるアレル(pro-oxidant allele)を多く有する患者ほど冠動脈イベントの発症リスクが高かった(p for trend=0.032)。Cox比例ハザードモデルを用いた解析の結果、性別、年齢、高血圧の有無、脂質異常症の有無、喫煙等の古典的危険因子を調整後のpro-oxidant allele 1個当たりのハザード比は1.54(95%CI;1.01-2.35,p=0.047)であった。 上記の結果から、2型糖尿病患者において、酸化ストレスに関連する5つの遺伝子多型の集積は、冠動脈イベントの発症と関連すること、冠動脈イベント発症のリスク評価にはこれらの遺伝子多型の集積効果を評価することの有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部の研究協力施設が東日本大震災で甚大な被害を受け、データ収集が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、既に収集済みのデータを用いた中間解析の結果、酸化ストレスに関連する遺伝子多型の集積が冠動脈イベント発症のリスクとなることを示唆するデータを得た。今後は、全登録症例のデータを収集し、より多数例を対象とした解析を行うことによって、仮説の検証に努めたい。このため、データ収集が遅れている研究協力施設に人員を派遣し、データ収集の促進を図ることを考慮中である。
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