2010 Fiscal Year Annual Research Report
GSK-3βの膵β細胞量調節機構の解明とその制御による2型糖尿病治療の研究
Project/Area Number |
22590984
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田部 勝也 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00397994)
|
Keywords | Gsk-3β / 膵β細胞 / インスリンシグナル / 2型糖尿病 |
Research Abstract |
Gsk-3βの制御異常が2型糖尿病における膵β細胞量減少に関与することが想定される。この点について証左を得ることを目的とし、Gsk-3βfloxマウスをラットインスリンプロモーター2Creリコンビナーゼトランスジェニックマウス(rip2-Cre)と交配することにより膵β細胞特異的Gsk-3β欠損マウス(βGsk-3β-/-)を作出した。12週齢時の膵β細胞量はコントロールマウス(Rip Creマウス)に比し約30%増加しており、細胞増殖能の亢進と関連した。さらに、高脂肪食負荷により惹起される耐糖能障害が膵β細胞特異的Gsk-3β欠損により軽減された。この時、代償性β細胞増加の一層の亢進とアポトーシスの減弱を認めた。Gsk-3β欠損単離ラ氏島においてIRS1およびIRS2の発現量増加およびその下流に位置するPKB/Aktの活性化を認めた。このことから構成的Gsk-3β活性が、少なくとも一部にはIRS1/2発現量抑制と下流シグナリングの減弱を介して、膵β細胞量を抑制的に調節することを明らかにした。一方、慢性高血糖によるブドウ糖毒性が知られているが、高血糖により脂肪毒性が増強されることも知られている(Glucolipotoxicity)。申請者らは、マウス膵β細胞株および膵ラ氏島において、飽和脂肪酸の細胞毒性がグルコース濃度の上昇により増強することを明らかにした。このことには、小胞体ストレスの増強にくわえてIRS2発現低下とその下流シグナリング障害が関連した。さらに、恒常的抑制型Gsk-3βの強制発現によるGsk-3β活性制御により飽和脂肪酸によるアポトーシスが軽減した。すなわち、Glucolipotoxicity発現おけるGsk-3β活性化の重要性が明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)