2011 Fiscal Year Annual Research Report
GSK-3βの膵β細胞量調節機構の解明とその制御による2型糖尿病治療の研究
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22590984
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田部 勝也 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (00397994)
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Keywords | 膵β細胞 / 2型糖尿病 / Gsk-3β / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
2型糖尿病病態におけるセリン・スレオニンキナーゼGsk-3βを介した膵β細胞抑制的制御の分子機構について解析を行った。糖尿病状態においてインスリン需要増大に加えて様々な代謝異常により惹起される小胞体ストレスや酸化ストレスの亢進が膵β細胞量減少の主要な因子として想定される。2型糖尿病においてGSK-3活性の制御異常がさまざまな程度に膵β細胞機能不全に関わると推察されるが、ストレス条件下におけるGsk-3βの役割は明らかでない。高血糖による脂肪毒性増強(Giucolipotoxicity)には、小胞体ストレス増大に加えてGsk-3活性制御異常が関連した。マウス単離ラ氏島およびマウス膵β細胞株(MIN6)において、薬剤誘導性小胞体ストレズはGSK-3を活性化した。この時、GSK-3特異的阻害剤SB216763またはGSK-3.β Kinasedead変異体導入によりGSK=3活性を抑制するとア.ポトーシスは減弱した。同時に、ATF4とその転写標的である4E-BP1の発現がGSK-3活性抑制により増強した。一方、GSKT3はATF4とE3 ligase acceptor βTrCPとの結合を促進し、ATF4蛋白の分解を促進することが明らかとなった。加えて、GSK-3活性抑制による抗アポトーシス効果は、ATF4dominant negative変異体導入またはATF4 knockdownにより減弱した。以上の結果から、GSK-3活性化によるATF4分解促進が、少なくとも小胞体ストレス誘導性アポトーシス分子機構の少なくとも一部であることが明らかとなった。本研究結果は、GSK-3が膵β細胞保持を目指した2型糖尿病の治療標的となりうる可能性を示すとともに、膵β細胞アポトーシスの新規分子基盤を創出するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルでの解析を踏まえて、分子機構の解明を現在行っている。探索的研究から具体的なシグナル経路の解析に着手し、cDNAやウィルスベクターの作成は終了している。作業仮説に矛盾しない研究結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
膵β細胞における小胞体ストレスによるアポトーシス誘導のGSK弓を介するシグナリングメカニズムを解明する。今後は以下の点についての解明が必要である。(1)GSK-3によるATF4のリン酸化と蛋白分解促進との関連について、(2)ATF4を介したストレス応答障害と小胞体ストレス誘導性アポトーシス増強の分子機構解明を行う予定である。
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