2010 Fiscal Year Annual Research Report
TNFα変換酵素を介したインスリン抵抗性発現機序の解析
Project/Area Number |
22590987
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本島 寛之 熊本大学, 医学部附属病院, 特任助教 (40398201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 龍也 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 助教 (70398204)
松村 剛 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20398192)
西川 武志 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 特任准教授 (70336212)
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Keywords | 糖尿病 / 発現制御 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本研究は、高グルコース状態がTNFα変換酵素(TACE)や他のプロテアーゼ活性を増加させインスリン受容体(IR)を切断するという仮説を、in vitroおよびin vivo実験にて証明し、TACE活性抑制機序を応用した糖尿病新規治療法の確立を目的としている。 1)ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス、KKAyマウスではTACE発現および活性がコントロールと比較してmRNAおよび蛋白レベルで増加していた。IR蛋白発現量は、βサブユニットがわずかに減少、αサブユニットはさらに減少していた。発現量の比(IRα/IRβ)は糖尿病動物で減少していた。 2)高グルコース培養HepG2細胞では、IR切断量の増加を認め、時間依存性であった。高グルコース培養で、TACE発現と活性の増加を認めた。TACE阻害剤TAPI-1前処置にてIR切断は部分的に抑制された。siRNAによるTACE活性抑制実験では、約35%のTACE発現抑制が得られたが、有意なIR切断の阻害は確認されなかった。 3)2型糖尿病モデルKKAyマウスでは、食餌制限による糖尿病治療を実施、無治療群に比して有意な血糖値の改善およびTACE蛋白発現の減少を認めた。 以上の結果から、糖尿病状態では、動物および培養細胞レベルでIR蛋白の切断が増加すること、TACE発現がmRNAおよび蛋白レベルで増加することが示された。TAPI-1によるTACE活性阻害、および食餌制限による糖尿病治療がIR切断抑制に有効である可能性が示唆された。
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