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2011 Fiscal Year Annual Research Report

グレリンによるインスリン分泌抑制機序の解明

Research Project

Project/Area Number 22590991
Research InstitutionWakayama Medical University

Principal Investigator

西 理宏  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90228148)

Keywords糖尿病 / シグナル伝達 / インスリン分泌 / グレリン / IA-2β / AMPキナーゼ / UCP2 / 酸化ストレス
Research Abstract

昨年グレリンのインスリン分泌抑制機序の一つとして、グレリンがAMPキナーゼ-UCP2経路を介してインスリン分泌細胞株MIN6細胞のインスリン分泌を抑制することを証明し、報告した(FEBS Letters 584:1503-1508,2010)。しかしながら、UCP2発現亢進は酸化ストレスに対してはむしろ防御的に働くことが想定される。本年はグレリンの膵β細胞に対する影響のうち酸化ストレスに対する防御作用に関して主に検討した。10nMグレリンは単独でMIN6細胞の増殖能を亢進させた。また、過酸化水素は酸化ストレスを介して濃度依存性にMIN6細胞の増殖能を低下させ、アポトーシスを増加させたが、グレリンは過酸化水素によるMIN6細胞の増殖能低下およびアポトーシス亢進に対し、抑制効果を示した。当初これらの効果はAMPキナーゼ-UCP2経路を介したものを考えていたが、その後のAMPキナーゼ活性化薬であるAICARや抑制薬であるCompond Cなどを用いたシグナル伝達系の解析により、本経路の関与は否定的である。現在MAPキナーゼ系など他の経路の関与につき検討中である。以上の検討よりグレリンはインスリン分泌に関しては抑制するものの膵β細胞の増殖に関してはよい影響を与える可能性が示唆され、グレリンの糖尿病に対する影響についてはこれら両者のバランスを考慮する必要があると考えられる。今後は両者の作用機構を明らかにし、インスリン分泌抑制なしに、β細胞増殖に関与する経路が明らかになれば、新たな糖尿病治療薬の開発につながるものと期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

IA-2β変異体の解析が遅れている。IA-2βとIA-2のキメラによる解析では細胞内、細胞外いずれか単独の部位によるものではなく、さらに細分化したキメラ作成の必要があるが、まだ十分な検討が行えていない。

Strategy for Future Research Activity

グレリンのインスリン分泌抑制およびβ細胞増殖の糖尿病に関して相反する作用が明らかになり、今後は両者の作用機構を明らかにし、インスリン分泌抑制なしに、β細胞増殖に関与する経路が明らかになれば、新たな糖尿病治療薬の開発につながるものと期待される。IA-2βを介する機構に関しては作用部位の解析が進んでいない為、現状ではAMPキナーゼなどの他の経路や細胞増殖にかかわる経路(MAPキナーゼ経路の可能性を示すpreliminayなデータを得ている)の解析を優先する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2011

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] Ghrelin inhibits insulin secretion via AMPK-UCP2 pathway2011

    • Author(s)
      Masahiro Nishi
    • Organizer
      Computational Physiology of Cardiac Myocytes & Pancreatic β Cells
    • Place of Presentation
      Kyoto, Japan
    • Year and Date
      2011-01-30

URL: 

Published: 2013-06-26  

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