2011 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌及びβ細胞増加促進作用を持つ新規消化管ホルモンIBCAPの研究
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22590992
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
豊島 秀男 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (20197966)
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Keywords | 糖尿病 / 消化管ホルモン / 新規分泌タンパク |
Research Abstract |
我々は、これまでに新規消化管ホルモンの探索を行った結果、候補として新規消化管特異的分泌タンパク遺伝子IBCAP(Intestinal Beta-cell Augmenting Promoter)の同定に成功し、その解析を進めてきた。これまでに、このIBCAPは機能の一部として、インスリン分泌促進作用と膵臓β細胞増殖促進作用を持つことを明らかにしてきた。そのため、我々が新規に同定した消化管特異的分泌タンパクIBCAPは糖尿病治療標的となり得る可能性を秘めている。そこで本研究では、このIBCAPとその病態機能との関連、あるいはその機能・生理的意義の解明を目的として行った。 IBCAPの活性は、切断を受けてできるペプチドが活性体である可能性が示唆されていることから、今回、IBCAP活性体ペプチドの1次構造の決定を目指し、IBCAP強制発現細胞培養上清からの精製を行った。その結果、まだ更なる検討が必要ではあるが、ある程度の精製が終了し、順次LC-MS/MS解析を進めている。1次構造決定後は、活性体ペプチドによる活性の確認を行う予定である。 また、より生理的な条件での機能を明らかにするために、遺伝子改変動物モデル(IBCAP-トランスジェニック(Tg)マウスおよびIBCAP-ノックアウト(KO)マウス)の解析を行った。IBCAP-KOマウスの膵臓切片の病理学的解析の結果、このIBCAP遺伝子は、膵臓に作用し、膵臓の形成や増殖を抑制する可能性が示唆された。この結果はTgマウスの結果とも合致することから、今後、糖尿病治療や再生治療に結びつく可能性が考えられる。その他の表現型については現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在IBCAPペプチドの1次構造解析は精製が一段落し、順次構造解析を行いつつあること。また、その活性の評価方法としてより簡便で正確な方法を開発ができているために、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者はあらゆる研究において連携研究者と協力してグループで常時研究結果を元に討論し、方向性や研究方法の改善を図りながらIBCAPの機能解析を進める。また、研究代表者は適宜、学会・セミナー等で情報収集し、研究を進める。 IBCAPは、新しい消化管特異的な分泌因子であり、これまでに明らかとなっているホルモンとの相同性は見られていないため、その機能を明らかにすることは、困難を伴い、計画通りに進まない可能性も考えられる。しかしながら、本研究の中で並行して行っている、基礎から応用への研究で得られる新たな知見を参考にしながら、地道に研究を進め、検討を進めていくほかないと考えられる。
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Research Products
(8 results)