2011 Fiscal Year Annual Research Report
RAGEシグナルによる骨芽/破骨細胞間ネットワークとエピジェネティクス制御機構
Project/Area Number |
22590999
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 知彦 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (20422222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
龍野 一郎 東邦大学, 医療センター佐倉病院, 教授 (80282490)
|
Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 / エピジェネティクス / 骨リモデリング / 破骨細胞 |
Research Abstract |
我が国では高齢化とともに骨粗鬆症患者が急激に増加しており、骨強度の評価、特に骨質評価の重要性が叫ばれているが骨質の本体が明らかでないのが現状である。我々は骨密度が増加するにも拘らず骨折リスクが上昇する2型糖尿病骨脆弱モデルを用いて骨質とは何なのかを解明するとともに新たな骨質評価法の確立を試みている。これまで我々は糖尿病で増加するAdvanced glycation endproducts(AGEs)とその受容体RAGEに着目し、RAGE-ligandであるS100を添加した前骨芽細胞系細胞から得たConditioned Mediumが破骨細胞分化を誘導することを示してきたが、より生理的な条件である骨芽細胞と破骨細胞の共培養系においてもS100刺激が破骨細胞分化を誘導するかを検討した。S100は骨芽細胞・破骨細胞いずれにおいても個別に培養すると増殖や分化を抑制するが、共培養系においてS100はRANKL刺激による破骨細胞分化(TRAP活性)誘導効果を有意に増強することが確認された。このことから、糖尿病患者におけるAGEsの上昇は骨芽細胞からのシグナルを介して破骨細胞分化を誘導し骨脆弱性に寄与している可能性が考えられた。また、この系において何らかの炎症性サイトカインが関与している可能性を考え、閉経後骨粗鬆症における骨吸収亢進機構において重要なサイトカインの一つとされるIL-6に着目し、S100の時間依存的・濃度依存的な分泌刺激効果を検討した。骨芽細胞培養液中のIL-6濃度は骨芽細胞分化とともに7日目をピークに上昇することが確認されたが、予想に反してS100によるIL-6分泌刺激効果は確認し得なかった。これらの結果を踏まえ、今後さらに骨芽細胞からの分泌蛋白や関連遺伝子変化あるいは破骨細胞分化のmaster regulatorであるNFATc1について解析を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たな骨質評価マーカーの開発に当たっては、RAGEシグナル活性化に伴って骨芽細胞から分泌される破骨細胞増殖・分化促進因子の同定が必須であるが、本年度は骨芽細胞培養液中からサイトカインを網羅的に測定する系の確立に成功したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はRAGEシグナル活性化に伴う骨芽細胞からの破骨細胞増殖・分化促進因子を網羅的に測定し、同定した因子の有用性を検討するとともに、次世代型シークエンサーを用いて遺伝子レベルにおいても、その分泌蛋白の発現変化を裏付けるデータが得られるかを検討する。
|
Research Products
(7 results)