2011 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロメジンUの動脈硬化発症・進展における役割の解明と治療への応用
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22591004
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
斯波 真理子 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病態代謝部, 特任部長 (70271575)
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Keywords | 脂質異常症 / ニューロメジンU / マクロファージ / モデル動物 |
Research Abstract |
新規神経ペプチドであるニューロメジンU(NMU)の脂質代謝および動脈硬化症への関わりを明らかにすること、さらにその知見を用いて新しい治療法の開発を行うことを目的として、ApoE-KOマウスのダブルKOマウスを作製し、脂質代謝および動脈硬化症への影響について検討した。ApoE/NMU-KOは、ApoE-KOやLDLR-KOに比べても血清コレステロール値が高く、特にVLDLおよびLDL分画に著明に高値であった。高脂肪食負荷後、全てのマウスにおいてコレステロール値の上昇を認め、ApoE-KOでは3436±491mg/dL、ApoE/NMU-KOマウスでは平均3697±737mg/dLまで上昇を認めたが、NMU-KOでは206±26mg/dL、WTでは279±159mg/dLであった。無コレステロール食負荷においては、WT、Mm-KOにおいては血中コレステロール値に大きな変化を認めず、ApoE-KO、ApoE/NMU-KOにおいて著明低下を認めた。これらのことから、NMUがコレステロール代謝に重要な役割を果たしていることがわかった。体内のコレステロール合成量を反映する尿中メバロン酸排泄量は、WT、ApoE-KOに比べてNMU-KOにおいて低値を示し、ApoE/NMU-KOにて高い傾向にあった。^<125>I-LDLを静注してターンオーバーを調べたところ、ApoE-KO、NMU-KO、WTにおいては正常であったが、LDLR-KOではearly phaseでの遅延、ApoE/NMU-KOではlate phaseでの遅延を示した。これらのことから、N柵分子が肝臓におけるLDL代謝機構に何らかの関わりがあることが示唆された。大動脈を採取し、脂肪染色を行って動脈硬化の評価を行ったところ、ApoE-KOに比し、ApoE/NMU-KOにてやや軽症である傾向があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Apo-E/NMUダブルKOマウスの作製、その病態解析を明らかにしたこと、さらに治療法の開発としては、アンチセンス投与による肝臓での遺伝子発現を著減させる系り開発にも成功しており、2年目までの研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、核酸医薬のデリバリーは流動研究員の鈴木が行う予定であったが、退職したために研究員の堀美香、流動研究員の和田俊輔が行う。今後はApoE/NMU-KOとApoE-KOの動脈硬化の違いを病理組織学的および遺伝子発現レベルで明らかにし、NMUの動脈硬化進展における役割を明らかにするとともに、核酸医薬を用いた新しい治療法の開発への応用に努める。
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