2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミネラル・骨代謝異常における酸化ストレスの関与の解明
Project/Area Number |
22591007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 学 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00265141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 誠二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30202287)
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Keywords | 内分泌学 / ミネラル代謝 |
Research Abstract |
骨芽細胞系細胞株MC3T3-Elを用い、細胞培養液中のリン、およびカルシウムを変化させた際の活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)産生及びリンの骨芽細胞分化におよぼす影響を検討した。 その結果リン負荷でROS産生が亢進し、リンとCaの同時負荷でROS産生はより増加する傾向を示し、NADPHの特異的な阻害剤であるDPIとapocyninをリン負荷と同時に添加することによって、高リン負荷時のROS産生が有意に抑制される一方、xanthine oxidase阻害剤であるoxypurinolやミトコンドリア呼吸鎖の阻害剤であるrotenoneを添加しても、リン負荷時のROS産生の抑制は認められなかった事より、リンによるROS産生の亢進は主としてNADPH oxidase(Nox)を介して行われることが考えられた。 また、MC3T3-ElをBMP2の添加された培養液中で培養しリン負荷によるアルカリホスファターゼ活性の変化の検討の結果MP2と同時にリン溶液を加えた群ではアルカリホスファターゼ活性が有意に低下しており、またナトリウム-リン共輸送体阻害剤のfoscarnet添加によってリンの細胞内流入を阻害することでアルカリホスファターゼ活性抑制が回復することより、リンによってBMPが誘導する骨芽細胞分化が抑えられることが明らかとなった。 一方ROS産生に及ぼす効果と同様、Na_2SO_4によってはALP活性の抑制は認められなかった。従ってリンによるBMP2誘導性骨芽細胞分化抑制は、リンに特異的なものと考えられた。またリン負荷によりMC3T3-El細胞の細胞数は減少しなかった事から、このリンの効果は非特異的な細胞障害によるものではないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究実地計画書に記載した骨芽細胞様細胞株MC3T3-El細胞の分化に細胞外のリンが重要な役割を示すことを本研究で解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.リンによるFGF23産生調節機構の検討 リンによるFGF23産生調節機序を明らかにするために、リン、およびFGF受容体を介するシグナルによって変化する遺伝子群を網羅的に解析する。培養細胞株やマウスを用い、まずはリン負荷やFGF受容体のアゴニスト、阻害剤により、実際にFGF23発現が変化することをreal time PCRや細胞培養液中、血中のFGF23濃度測定により確認する。
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