2011 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞分極化阻止因子GIFの脂肪組織リモデリング制御における分子機構の解明
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22591011
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西條 美佐 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (10566813)
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Keywords | GIF / リンパ球 / CD4T細胞 / サイトカイン / Th2化 / 脂肪細胞 / 肥満 / インスリン抵抗性 |
Research Abstract |
週齢8週の雄、野生型マウス(WT)、GIFノックアウトマウス(KO)に、16週間高脂肪食を与えその間、体重測定し、糖負荷試験(GTT),インスリン負荷試験(ITT)を行った。終了後に摘出した肝臓、皮下脂肪、精巣周囲脂肪組織からRNAを抽出し、遺伝子の発現レベルの比較を行った。この結果、GIFKOマウスでは脂肪組織に浸潤したリンパ球がTh2化し、Th2サイトカインを分泌することにより、脂肪組織の炎症性変化を制御し、糖代謝異常を緩和している可能性を見い出し、この結果を再現した。さらに、同実験で得られた皮下脂肪、精巣周囲脂肪組織から、stromal vascular fraction(SVF)を分離し、intracellular cytokine staining(ICCS;細胞内サイトカイン染色)を行い、KOマウスでは,WTマウスに較べてTh2サイトカインであるIL-4の分泌が有意に高いという結果を得た。以上から、脂肪組織に浸潤しているCD4T細胞から分泌される活性型GIFがリンパ球のTh2化を阻止し、脂肪組織の炎症性変化を惹起している可能性がさらに強く示唆された。一方、同実験においてKOマウスでは肝臓での脂肪肝への変化が、WTマウスに較べて程度が強く、KOマウスにおける糖代謝異常の緩和と対立する結果を得た。以上の結果から、GIFは脂肪組織における糖代謝異常の促進、肝臓における脂肪肝への変化の緩和に関与している可能性が、示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、GIFノックアウトマウスを現在著者が勤務している研究所にトランスファーする予定であったが、現在、前勤務場所であった施設の動物施設で管理しており、実験の進行が遅れがちになっていたが、今年度の始めには、トランスファーを終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
筆者らはすでにCD4T細胞から分泌されるmodifiedGIFがリンパ球のTh2への分化を阻止するとを報告している。今回脂肪組織周囲のリンパ球から分泌されるmodified GIFが糖代謝異常を促進する一方、肝臓での脂肪肝の発生を緩和していることが示唆された。今年度は上記の結果の関連性を検討し、さらに野生型マウスとGIF-/-マウスに野生型、GIF-/-、あるいはGIF-/-とTCR-/-マウス由来の骨髄細胞を移植し、キメラマウスを作製した後、高脂肪食による肥満を誘発し、表現系の違いを検討する。さらに、GIFによる脂肪組織のリモデリングのコントロールについて総括する。
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