2011 Fiscal Year Annual Research Report
Ph陽性白血病の低分子量G蛋白質を介したシグナル伝達機構の治療標的としての検討
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22591030
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
黒須 哲也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (40361696)
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Keywords | Ph陽性白血病 / BCR/ABL / 分子標的療法 / 低分子量Gタンパク質 |
Research Abstract |
PECAM-1はCD31とも呼ばれる130kDのimmunoglobulin superfamilyの接着分子で、内皮細胞と造血細胞に広範に発現し、2つのチロシンリン酸化部位ITIM領域を有し、細胞シグナル伝達を制御することが報告されている。慢性骨髄性白血病やPh陽性急性リンパ芽球白血病を引き起こす融合型チロシンキナーゼBCR/ABLが、直接またはSrcファミリー・キナーゼの活性化を介して、PECAM-1のITIM領域をリン酸化することを見いだした。このリン酸化部位にはチロシンフォスファターゼSHP2が結合し脱リン酸化すると供に、Gab2等とも複合体を形成し、細胞内シグナル伝達の制御にも関与することが推察された。BCRIABLチロシンキナーゼ阻害薬imatinib耐性変異体E255KやT315Iはより強くPECAM-1をリン酸化した。また白血病細胞株K562等でPECAM-1の過剰発現は、Rap1/MEK経路の活性化と細胞接着を亢進し、imatinibや第二世代阻害薬dasatinibによるmitochondria障害とcaspaseの活性化を介したアポトーシス誘導を部分的に抑制した。これらの結果より、PECAM-1はPh陽性白血病細胞において、BCR/ABLからのRap1/MEK経路等を介した細胞接着やアポトーシス陽性等を制御する細胞内シグナル伝達機構を調整し、imatinib等への治療抵抗性獲得機構にも関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果により論文掲載2報を行うことができた。また現在1報投稿中また1報の投稿準備中である。現在までの結果がさらに新たなテーマへの推進となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果をさらに進め、造血器腫瘍の発症・進展・治療抵抗性獲得機構・新規治療の開発に向けてさらなる研究を行いたい。
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