2010 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍原性チロシンキナーゼ依存性細胞増殖機構の弱点の解析
Project/Area Number |
22591036
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水木 満佐央 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80283761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60346202)
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Keywords | FGFR3 / multiple myeloma / レセプター型チロシンキナーゼ / プロテアゾーム阻害剤 / ER stress |
Research Abstract |
t(4;14)は多発性骨髄腫の予後不良因子であるが、本染色体異常を有する骨髄腫細胞においては線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子の異所性高発現が生じ、このFGFR3の発現は細胞死の抑制や増殖促進に結びつくと考えられている。更にt(4;14)陽性骨髄腫の一部の進行例では、FGFR3の活性化変異が認められる。プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブは、多発性骨髄腫に対して極めて有用な薬剤であり、これまで予後不良とされてきた染色体異常t(4;14)をもつ骨髄腫患者に対しても有効であることが示されている。そこで今回は、FGFR3(野生型、変異型)の発現が、形質細胞腫瘍のボルテゾミブ感受性に与える影響とその機序を検討した。各細胞株の免疫染色での解析により、野生型またはTyr373Cys変異FGFR3は細胞表面に発現し主として細胞膜上で活性化を示すことに対して、Lys650Glu変異FGFR3は細胞内の小胞体に局在すると共に同部において恒常的活性化を示し特異的活性化形態を示した。一方、ボルテゾミブの投与は、野生型、Tyr373Cysに比較してLys650Glu発現細胞において、小胞体関連蛋白BiP、Edeml及びCHOPの発現を強く誘導した。さらに、FGFR3導入FR4細胞にglycosylation阻害剤であるtunicamycinを加えて小胞体ストレスを負荷したところ、各細胞ともボルテゾミブ感受性が増強し、同等の細胞死を示し、逆に蛋白合成阻害剤であるcycloheximideを加えて小胞体ストレスを軽減させると、Lys650Glu発現によるボルテゾミブ感受性増加がうち消され、各細胞ともボルテゾミブ感受性の低下を認めた。以上よりボルテゾミブはLys650Glu変異FGFR3発現形質細胞腫瘍に特に有効であり、その細胞毒性の増強は小胞体ストレス依存性であることが示唆された。またその小胞体ストレスの増強は、Lys650Glu変異FGFR3が小胞体において異所性に活性化を示すことと関連している可能性が考えられた。
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