2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞増殖におけるLyn-PI3 kinase刺激伝達系とPKM2の役割
Project/Area Number |
22591039
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40294623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 雅則 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80158831)
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Keywords | 骨髄腫 / IL-6 / PI3-kinase / Akt / FoxO1 / 解糖系 / PKM2 |
Research Abstract |
骨髄腫細胞は、CD45陽性の細胞がIL-6に反応して増殖しており、IL-6によって活性化されるSTAT3とERK1/2に加えて、CD45によって制御されるsrc型PTK、Lynの活性が必須である。Lynを過剰発現させたIL-6依存性骨髄腫細胞株を用いた実験から、Lynの下流でPI3-kinase-Akt刺激伝達系が活性化されることがIL-6による骨髄腫腫細胞増殖に重要な働きをしていることが解った。今回、Lynを過剰発現しない親株においても同様にPI3-kinase-Akt刺激伝達系の重要性を確認し、さらにAktの下流でFoxO1がリン酸化されていることを新たに見出した。このことは、Lynを過剰発現させた骨髄腫細胞株で得られた知見がLynを過剰発現しているために起こった非生理的な現象ではないことを示している点で重要である。 また、細胞内タンパク質のチロシン・リン酸化状態はPTK活性とそれを脱リン酸化するチロシン・フォスファターゼ(PTP)活性のバランスで決定される。我々は、質量分析法によりCD45-Lyn刺激伝達系の下流エフェクター分子として解糖系の酵素群(乳酸脱水素酵素LDH,エノラーゼENO)を同定した。さらに、CD45陽性骨髄腫細胞においてIL-6刺激後に脂質ラフトでチロシン・リン酸化されるタンパク質、脂質ラフト外でチロシン・脱リン酸化されるタンパク質を質量分析法により複数同定した。その中には、熱ショック・タンパク質、thioredoxin類とともにpyruvate kinase M2 (PKM2), LDH, ENO, phosphoglycerate kinase (PGK)などの解糖系の酵素が含まれていた。IL-6刺激に伴う腫瘍細胞特異的ピルビン酸キナーゼPKM2のチロシン・脱リン酸化がCD45発現骨髄腫細胞でのみ観察され、この現象はPTP阻害剤により消失したことから、CD45のPTP活性の関与が強く示唆された。
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