2010 Fiscal Year Annual Research Report
新たなサイトカインILー34を応用したマクロファージ分化・機能発現制御機構の解明
Project/Area Number |
22591041
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴 伸也 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (80363513)
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Keywords | マクロファージ / サイトカイン |
Research Abstract |
マクロファージの分化・機能はM-CSFなどのサイトカインで厳密に制御される。一方で最近、M-CSFと受容体Fmsを共有する新規サイトカインIL-34が同定された。本研究では、両者がマクロファージの分化・機能をどのように異なって制御するかを明らかにする事を目的とした。そして以下の新たな事実を見出し、論文として発表した(Chihara T, Suzu S et al. Cell Death and Differentiation, 17:1917-1927,2010)。先ず、単球由来マクロファージ及び単球系細胞株TF-1-fmsを用いて、両者の生物活性が異なる事を明確にした。特に、ケモカインの産生様式が同一ではない事、又、IL-34で培養した細胞がより強い遊走能を示す事を明らかにした。更に、両者によるシグナル活性化様式が、特に、時間経過において異なる事も明らかにした。この事と一致して、両者が同じ受容体に結合はするものの、結合部位が異なっていた。具体的には、受容体Fmsに対する抗体、そしてFmsの変異体を用いた生化学的実験で明らかにした。又、M-CSFとIL-34が結合した後の、受容体分解の速度が異なる事も示した。以上の結果は、M-CSFとIL-34は同じ受容体の具なる部位に結合し、その結果、シグナル伝達の速度及び強さが具なり、最終的に具なる生物活性を示す事を初めて明らかにしたものである。本研究の結果は、マクロファージの機能が、たとえ1つの受容体システムにおいても、極めて厳密に制御される例を示したものである。研究は予定通りであり、今後は更に詳細な分子機構と核内転写因子活性化様式の比較、更に、受容体Fmsに異なる2つのリガンドが存在する意義そのものを解明する。
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