2011 Fiscal Year Annual Research Report
新たなサイトカインIL-34を応用したマクロファージ分化・機能発現制御機構の解明
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22591041
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鈴 伸也 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (80363513)
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Keywords | マクロファージ |
Research Abstract |
本研究は、マクロファージの分化や機能が生理的に厳密に調節されるメカニズムを明らかにする事を試みている。中でも、M-CSFはマクロファージにとって重要な生理活性物質(サイトカイン)である。このM-CSFの作用はマクロファージ表面上の受容体(Fmsと呼ばれる)を通して発揮される。一方で最近、M-CSFと受容体Fmsを共有する新規サイトカインIL-34が同定されている。そこで本研究では、申請者らが既に見いだした新事実「M-CSFとIL-34は生物活性・シグナル活性化の点で全く同一ではない」を発展させ、両者がマクロファージの分化・機能をどのように異なって制御するか、そしてその生体内での役割の違いは何かを詳細に明らかにする事を目的として行っている。 これまでに、M-CSFで培養して得られたマクロファージとIL-34で培養して得られたマクロファージの表現型・機能を、各種アレイ、ELISA、FACSおよび各種バイオアッセイを用いて、同時にM-CSFとIL-34により活性化されるシグナル分子・転写因子をWestern blotおよび各種アレイを用いて比較解析してきた。その中で、炎症性サイトカインやケモカインの産生パターンに違いがある事を見出してきた。更に、マクロファージ系の細胞はIL-34に対して強い遊走能を示す事も見出してきた。つまり、M-CSFとIL-34は同じ受容体を介するにもかかわらず、必ずしも同じ作用を示す訳ではない事を明らかとした。一方、シグナル活性化を調べた所、その速度と時間経過においてIL-34とM-CSFには明らかな違いがある事が明らかとなった。つまり、IL-34は一過性に強いシグナルを引き起こすが、直ぐに収束してしまう。今後、生物活性の違いとシグナル活性化の違いの因果関係を明らかにする事で、IL-34とM-CSFという2つのサイトカインが同じ受容体を利用する事の意義を明らかにできると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに進んでおり、成果は学会にて発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな変更は無く、概ね、当初の計画通り進める。同時に、2年間の研究で当初は予想しなかった知見も得られたので、研究内容を追加して行う。
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