2011 Fiscal Year Annual Research Report
mTORを標的としたオートファジー誘導型の新しいB細胞リンパ腫治療法の開発
Project/Area Number |
22591043
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 勉 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40404602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90336389)
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
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Keywords | リンパ腫 / オートファジー / mTOR / 治療 |
Research Abstract |
「研究の目的」悪性リンパ腫は未だ予後不良な血液悪性疾患のひとつであるが、予後を不良にする最大の原因は抗がん剤に対する抵抗性にある。抗がん剤はリンパ腫細胞にアポトーシスやネクローシスなどの細胞死を誘導する目的で使用されるが、このような従来型の薬剤とは一線を画する治療法が希求されている。そこで本研究では、アポトーシスやネクローシスなどの細胞死シグナルとクロストークしない自己融解型の細胞死、オートファジーを誘導する治療法を試みる。オートファジーの誘導にはmTORに対するsiRNAを用い、siRNAのデリバリーとB細胞リンパ腫のターゲティングには、CD19抗体で標識したsiRNA-PEG/KALA PECMシステムを開発する。 「平成23年度の業績」悪性リンパ腫疑いの患者を対象として病理学的検索を目的に通常の医療行為の範疇でリンパ節生検が施行される際、事前に本研究の目的と意義を文書により説明し、文書により同意を受ける方法により被験者からインフォームド・コンセントが得て、生検されたリンパ節の一部を細切し、浮遊したリンパ腫細胞を回収した。通常の病理学的検索によりCD19陽性B細胞リンパ腫と診断された場合は、そのリンパ腫細胞を対象としてCD19-mTORのオートファジー誘導効果を検討した。陰性コントロールにはIgG-mTOR、IgG-scrambleおよびCD19-scrambleを用いた。細胞数の定量化はMTT法で、細胞死の性状はHoechst 33342による核染色を用いた蛍光顕微鏡観察で、LC3-IIの出現はウエスタンブロット法で検討した。その結果、すべてのリンパ腫細胞でCD19-mTORの抗腫瘍活性を確認した。特に、通常の化学療法に不応な症例や寛解後の再発症例などから得られたリンパ腫細胞は、通常のアポトーシスやネクローシスなどの細胞死に抵抗性であるが、このような細胞にもCD19-mTORは効果的にオートファジー細胞死を誘導した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で平成23年度中に行うと計画した実験は完遂し、期待していたデータを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画通りin vivo実験を行う。Namalwa細胞をSCIDマウスの背部皮下へ移植し、腫瘤が形成され直径6mmに達した時点で、尾静脈より各種濃度のCD19-mTORを投与する。陰性コントロールには、IgG-mTOR、IgG-ScrambleおよびCD19-Scrambleを用いる。投与後、腫瘍径を経時的に測定し、CD19-mTORの腫瘍増殖に対する抑制効果を検討する。更に、B細胞リンパ腫患者のリンパ節から採取したリンパ腫細胞を、あらかじめ抗アシアロGM1抗体を腹腔内投与したSCIDマウスの背部皮下へ移植する。腫瘤が形成され直径6mmに達した時点で、尾静脈よりCD19-mTORを投与する。CD19-mTORの投与量は、上記の検討結果を参考にして決定する。陰性コントロールには、IgG-mTOR、IgG-scrambleおよびCD19-scrambleを用いる。投与後、腫瘍径を経時的に測定し、本治療法の有用性を結論づける。
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