2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591049
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮川 義隆 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50250238)
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Keywords | 骨髄腫 / がん幹細胞 / 抗がん剤 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
血液のがんである骨髄腫は難治性であり、生命予後は悪い。骨髄腫の病態を解明し、新規治療法を開発するためには、がん細胞が体内でどのような挙動を示すか研究する必要がある。これまで適切な骨髄腫の疾患モデル動物がなく、白血病と比べて研究が立ち後れていた。本研究では、先天的にリンパ球と補体を欠損する重症型免疫不全症であるNOGマウスに、ヒト由来の骨髄腫細胞株を移植し、マウス体内における骨髄腫腫瘍細胞の挙動、ならびに骨髄微小環境内におけるがん細胞の状態を精査した。マウスに移植されたヒト骨髄腫細胞は、大腿骨においては血流が豊富な骨幹端に集まり、局所では骨芽細胞、破骨細胞との接触を保つことを解明した。また、骨髄腫細胞が大腿骨内で増殖すると、骨代謝が乱れ、病的骨折を引き起こした。このモデルマウスに抗がん剤を投与したところ、p53依存的に腫瘍細胞がアポトーシスを起こし、腫瘍細胞の減少と同時に骨形成が回復した。移植されたがん細胞の一部は、体内においてカドヘリンを発現し、抗がん剤に対する薬剤耐性を獲得した。本研究により、体内における骨髄腫細胞の接着分子の変化、薬剤耐性、骨髄へのホーミングなどがあきらかとなった。今後は当該モデル動物を応用することで、さらなる病態の解明、新薬開発につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒト骨髄腫モデルマウスを作成し、マウス体内におけるヒト骨髄腫細胞の増殖の仕方、造血微小環境との関連性、薬剤体制の獲得の解明、抗がん剤の薬効評価法の確立に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄腫幹細胞をより効率的に同定する方法の確立と、新規治療法の開発につながる研究を行う。
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Research Products
(1 results)