2010 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞におけるチロシンキナーゼを標的としたオートファジー誘導と細胞保護効果
Project/Area Number |
22591050
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
宮澤 啓介 東京医科大学, 医学部, 教授 (50209897)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 智央 東京医科大学, 医学部, 講師 (40408240)
|
Keywords | オートファジー / チロシンキナーゼ / 白血病 / アポトーシス / メシル酸イマチニブ / 慢性骨髄性白血病 / 細胞保護効果 |
Research Abstract |
申請者らは慢性骨髄性白血病(CML)の分子標的薬メシル酸イマチニブ(グリベック^R)が,他のBCR-ABLを発現しない白血病細胞株や癌細胞株では,オートファジーを強力に誘導し,かつ,細胞保護効果を発現することを発見した。さらに,murine embrinonic fibroblastを含めた正常細胞においても同様な現象が観察された(Ohtomo T, Miyazawa K.et al. Biochem.Biophy.Res.Commun.2010.)。この現象は他の一部のチロシンキナーゼ阻害剤によっても細胞種を超えて普遍的に観察される。本研究ではこのオートファジーによる細胞保護作用に着目し,システムバイオロジーの解析手法により本現象にかかわる標的チロシンキナーゼの同定を行うことを第一の目的としている。これにより今後,造血幹細胞・前駆細胞の試験管内増幅や骨髄異形成症候群・不応性貧血におけるアポトーシスを介した無効造血の抑止を含めた"オートファジー誘導療法"の確立へとさらに発展させる基盤形成としたい。 本年度はイマチニブ,スニチニブ,ダサチニブ,ニロチニブを含む各種チロシンキナーゼ(TK)阻害剤によるオートファジー誘導能と細胞保護効果のスクリーニングを中心に実施し,最も細胞保護効果の優れたキナーゼ阻害剤と細胞株との組み合わせの探索を行った。その結果,イマチニブとHL-60細胞との組合せが,オートファジー誘導能と細胞保護効果において,効率性と再現性で最も優れた系であることが判明した。また,スニチニブではオートファジー誘導と細胞保護効果の両者が共に発現しないことが明らかとなった。次年度はこの系を用いて標的キナーゼの絞り込みと同定を中心に進める。
|
Research Products
(4 results)