2010 Fiscal Year Annual Research Report
「"前"白血病性幹細胞」の成立機転の解明とその治療・予防への応用
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22591054
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
都築 忍 愛知県がんセンター(研究所), 遺伝子診療研究部, 室長 (00342965)
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Keywords | 前白血病 / 白血病性幹細胞 |
Research Abstract |
白血病の成立機転を考えるとき、必ず考慮にいれなければならないのは、前白血病状態の存在である。ある遺伝子変化が増殖・生存に有利に働いてその細胞がクローンとして拡大し、しかしながらそれ自体では白血病を発症しない段階がここで言う前白血病状態であり、ここに更に遺伝子変化が加わることにより白血病化する。白血病性幹細胞(癌幹細胞)が治療標的として近年注目されているのであれば、その元である前白血病性幹細胞の成立機転や性質を解明することが肝要であることは明らかである。 本研究では、急性リンパ性白血病をとりあげ、その前白血病幹細胞の成立機転を解明し、治療法・予防法を開発することを目的とする。TEL-AML1融合遺伝子は小児白血病で最頻の染色体異常であり、その結果異常融合蛋白質が発現する。この異常は胎児期にすでに発生しており、従ってこの融合蛋白を発現する細胞は生後長きにわたるまで体内に存在し続ける、前白血病幹細胞であると考えられる。 この細胞をモデリングするために、マウスの胎児性前駆B細胞にTEL-AML1をレトロウイルスで遺伝子導入した。その結果、この細胞はin vitroにおいてもin vivoにおいてもコントロールに比べて生存・増殖が有意であることが判明した。遺伝子発現マイクロアレイ解析とshRNA実験により、この細胞の維持に重要な遺伝子をピックアップすることに成功した。今後はこの遺伝子の機能解析に移る予定である。
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Research Products
(2 results)