2010 Fiscal Year Annual Research Report
血小板/フィブリン血栓の収縮反応における凝固XIII因子の新しい機能と分子機構
Project/Area Number |
22591058
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
一瀬 白帝 山形大学, 医学部, 教授 (10241689)
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Keywords | XIII因子 / 架橋結合 / 血小板 / フィブリン / 血餅退縮 |
Research Abstract |
予備実験で血餠退縮能にFXIIIが関与することが示唆されている。血餠退縮能に最も寄与するのは血小板数なので、今年度は、血小板の産生や機能に及ぼすFXIII-A欠損の影響を検索し、異常の存在を検証することに主眼をおいた。 (1)血小板産生系 (1)野生型およびFXIII-A KOマウスの末梢血において、血小板の形態を比較したり、血小板数を計測して比較したところ、明らかな差は認められなかった。従って、実験的に乏血小板血症を惹起して、血小板数回復能を調べる必要がある。 (2)それぞれの系統のマウスの骨髄の標本を作製して、各血球系の大まかな割合、形態を観察して比較した。特に巨核球系については数には大きな違いはなかったが、FXIII-A KOマウスの骨髄ではやや幼若な巨核球が多かった。 (3)巨核球系細胞MEG01を培養して核DNA染色によりDNA量(N数)を計測して、成熟度の相違を比較したところ、FXIII陽性細胞は陰性細胞に比してN数が高いことが判明した。 (2)血小板機能 (1)高濃度ADP、トロンビンを用いた予備実験では、野生型とKOマウスの間で多血小板血漿の凝集能に大きな差はなかった。今後、他のリガンドを用いて凝集能を比較する必要がある。 (2)FXIII-A KOマウスの血餅退縮の欠如は、FXIIIの投与で部分的に回復されるので、細胞外のFXIIIも関与していることが示唆された。今後、野生型とFXIII-A KOマウスの洗浄血小板をそれぞれの血漿に混和してトロンビンで刺激して、細胞内・外のFXIII-Aの反応への寄与の程度を比較する必要がある。 (3)マウスの背部、腹部の皮膚に器具によって一定の切開創を加えたところ、野生型とFXIII-A KOマウスの間に有意な出血時間の差は認められなかったので、創傷治癒を時経的に観察したところ、FXIII-A KOマウスでは明らかに遅延が認められ、創部の周辺に潰瘍が拡大していた。
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Research Products
(31 results)