2011 Fiscal Year Annual Research Report
血小板/フィブリン血栓の収縮反応における凝固XIII因子の新しい機能と分子機構
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22591058
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
一瀬 白帝 山形大学, 医学部, 教授 (10241689)
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Keywords | XIII因子 / 架橋結合 / 血小板 / フィブリン / 血餅退縮 |
Research Abstract |
(1)巨核球成熟・血小板産生に関わる分子機構の解析 (1)FXIII(13)-A欠損マウスの血液において、統計的に有意ではないものの血小板数が野生型よりも少ない傾向が認められた。 (2)マウス骨髄のFACS解析において、FXIII(13)-A欠損マウスでは野生型に比べてCD61陽性細胞全体ではやや少ない傾向にあるものの、巨核球前駆細胞(CD61陽性かつcKit陽性細胞)が有意に多かった。 以上の結果から、FXIII(13)-Aは巨核球の成熟を促進し、血小板の産生に寄与している可能性が示された。 (2)血小板膜・細胞内タンパク質の生化学的解析 (1)トロンビンによる血小板活性化に伴い、α穎粒中のフィブリノゲンがフィブリンとなり、FXIII(13)依存的に膜ラフト(スフィンゴ脂質ミクロドメイン)へ移行した。 (2)膜ラフトは血小板表面においてフィブリンとアクトミオシン系を結び付ける中継点として血餅退縮に関わっていることを示した。 (3)フィブリンと活性化ミオシンの分布を免疫蛍光染色により解析したところ、スフィンゴミエリン特異的膜ラフトに共局在したことから、これらのタンパク質がスフィンゴミエリン特異的膜ラフトに移行することがわかった。 (4)ラフト破壊試薬メチルβシクロデキストリン処理により、スフィンゴミエリン特異的膜ラフトの破壊とともに血餅退縮が完全に抑制された。 (5)細胞外のフィブリン線維と細胞内のアクトミオシン系が主にスフィンゴミエリン特異的膜ラフトを介して連結し、血餅退縮を促進していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請者は、長年にわたり、血小板/巨核球の細胞内や膜表面に存在するFXIII(13)の機能について追究してきたが、FXIII(13)-Aが巨核球の成熟や血小板の産生に関与していることが推測されるエビデンスが得られつつある。また、FXIII(13)-Aが末梢血中の血小板の内・外で形態変化や収縮に関与することが確認され、相互作用する他のタンパク質分子を同定する段階に到達したので、所期の目的にかなり肉薄していると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)FXIII(13)の造血系(特に巨核球・血小板)での機能に関する研究では、引き続き、in vitroでの巨核球の分化誘導及び血小板産生の詳細について検討して行きたい。 (2)FXIII(13)の血小板収縮に関する機能についての研究では、トロンビン刺激前後の血小板を用いてプロテオーム解析することにより、FXIII(13)-Aと相互作用するラフト分画のタンパク質の変動、特に架橋結合量の変化などについて調べる。 (3)ヒト血小板においては、FXIII(13)-A以外のタンパク質が血餅退縮(血小板のフィブリン血栓収縮)に関与していると推測されるので、これを同定したい。
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Research Products
(14 results)