2010 Fiscal Year Annual Research Report
強皮症モデルマウスを用いた、皮膚硬化の分子機構の解明と新規治療法の開発
Project/Area Number |
22591079
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
山本 俊幸 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30242192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 徳孝 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (30332927)
川上 佳夫 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (80381367)
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Keywords | 強皮症 / 線維化 / ブレオマイシン / 治療 |
Research Abstract |
エンドセリン受容体拮抗作用をもつボセンタンが強皮症の2次性肺高血圧症のみならず、皮膚症状の改善に効果を示すことが報告されている。今回我々はブレオマイシン(BLM)誘導強皮症モデルマウスを用いて、皮膚硬化に対するボセンタンの治療効果を検討した。CH3/HeJマウス背部皮下へBLM(250μg/mL)を局注して誘導された強皮症様の皮膚硬化は、ボセンタン(150μg/mL)の同時経口投与で病理組織学的にも有意に減弱した。経口生食投与(対照)群に比べ、ボセンタン投与群のBLM注射部皮膚では発毛が増加し、この効果は免疫組織染色での真皮内α-smooth muscle actin (αSMA)陽性筋線維芽細胞の減少とE-selectin陽性の血管内皮細胞と毛細血管(CD31陽性)の増数とに相関していた。ボセンタン投与群では真皮内への肥満細胞浸潤、ならびにそれらの脱顆粒の程度が減少していた。ボセンタンがe-selectin陽性血管床の増加を介して、病初期の肥満細胞や他のエフェクターとなる炎症細胞浸潤を抑制することにより、BLM誘導性皮膚硬化を改善している可能性が示唆された。なお、実際にヒト強皮症においても、1例のみの検討であるが、ボセンタンにより手指の硬化が短期間に劇的に軽快した症例を経験している(Nishibu A, et al. Adramatical effect of endothelin receptor antagonist bosentan for dermal sclerosis in a patient with systemic sclerosis.Austral J Dermatol(in press))。また、Sunitinibに関しても、BLM局注と同時に、経口投与したところ、皮膚硬化の誘導は抑制された。皮膚に含有されるコラーゲン量も有意に減少した。以上より、ボセンタンおよびSunitinibが皮膚硬化に抑制的に働くことが示された。今後はそのメカニズムについてさらに詳しく検討する予定である。
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