2010 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群新規治療薬としてのBAFFシグナル阻害物質の探索
Project/Area Number |
22591084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉本 桂子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (20383292)
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Keywords | シェーグレン症候群 / BAFF / 単球 / シグナル伝達 / JAK3 / BAFF受容体 / IL-6 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究はシェーグレン症候群の根治療薬開発に向け、B細胞を活性化する因子であるBAFFを標的分子とした新しい治療薬の探索を行うことを目的としている。そのためin vitroにおけるBAFF-BAFF受容体結合モデルを作製し、励起される細胞内シグナル伝達経路の解明とその阻害剤の探索を行う。本年度はヒト単球由来細胞株THP-1を用いてBAFFがBAFF受容体に結合することにより励起されるシグナル解析を試みた。IFNγにより刺激されたTHP-1ではBAFF受容体(BR3)発現が亢進し、このBR3にBAFFが結合することにより、THP-1からのIL-6産生が誘導されることが明らかとなった。この培養系に様々な阻害剤(JNK阻害剤、p38MAPkinase阻害剤、JAK2阻害剤、JAK3阻害剤)を添加し、BAFF誘導型IL-6産生に対する各種阻害剤の影響を検討したところ、JAK3阻害剤に顕著なIL-6産生抑制作用を有することが明らかとなった。さらにリアルタイムPCRおよびウェスタンブロッティング法を用いて、IFNγ刺激THP-1細胞にBAFFを作用させた際、JAK3発現誘導およびJAK3リン酸化誘導が認められることを見出し、JAK3がBAFFシグナル経路に関与していることを示唆する結果を得ることができた。BAFF受容体との会合が認められている分子の報告は少なく、確認されれば極めて重要な事象となる。今後、BAFF受容体とJAK3の会合およびシェーグレン症候群患者組織(涙腺、唾液腺)におけるBAFF、BAFF受容体、JAK3発現を免疫組織染色を用いて検討を進めていく予定である。
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