2011 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群新規治療薬としてのBAFFシグナル阻害物質の探索
Project/Area Number |
22591084
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉本 桂子 慶應義塾大学, 医学部, 研究員 (20383292)
|
Keywords | BAFF / シェーグレン症候群 / 単球 / IL-6 / シグナル伝達 / JAK3 / 阻害剤 / リン酸化 |
Research Abstract |
本研究はシェーグレン症候群の根治療薬開発に向け、B細胞を活性化する因子であるBAFFを標的分子とした新しい治療薬の探索を行うことを目的としている。そのためin vitroにおけるBAFF-BAFF受容体結合モデルを作製し、励起される細胞内シグナル伝達経路の解明とその阻害剤の探索を行う。 今年度までにIFNγにより刺激されたTHP-1ではBAFF受容体(BR3)発現が亢進し、このBR3にBAFFが結合することにより、THP-1からのIL-6産生が誘導されることを明らかにし、この培養系においてJAK3阻害剤が顕著なIL-6産生抑制作用を有することを明らかにした。これよりBAFFがその受容体に結合することにより励起されるシグナルにはJAK3が関与していることが示唆された。本年度はシェーグレン症候群患者末梢単球にBAFF刺激を加え、IL-6産生が亢進した細胞を用いて、JAK3発現を検討した。その結果、シェーグレン症候群患者末梢単球において無刺激でもJAK3リン酸化が亢進しており、BAFF刺激によりJAK3リン酸化が更に亢進することが明らかとなった。またBAFF刺激による患者末梢単球からのIL-6産生はJAK3阻害剤により強く抑制されることが判明した。このような現象が実際に病変組織で起こっているかどうかを検討するため、シェーグレン症候群患者涙腺組織を用いて、BAFFおよびBAFFR発現を免疫組織染色を用いて検討した。その結果、リンパ球浸潤の認められた組織ではBAFF発現はCD4T細胞およびB細胞、CD11c陽性細胞(単球、マクロファージ)に発現しており、BAFF受容体はB細胞およびCD11c陽性細胞に発現していることが判明した。これらの結果より、組織においてもBAFF-BAFFRによるシグナル伝達が起こっている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト末梢単球におけるBAFFシグナル阻害作用を持つリード化合物の候補が見つかったことに加え、組織染色の検討を開始し、病変組織におけるBAFFおよびBAFF受容体発現の様式が判明しつつあり、順調に進行していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
シェーグレン症候群患者末梢単球を用いて、BAFFシグナル伝達分子の同定を行う。またTHP-1を用いたBAFFシグナルモデルを利用して同定されたBAFFシグナル伝達分子の阻害物質のスクリーニングを行う。 候補化合物を絞り、自己免疫疾患モデルマウス、シェーグレン症候群モデルマウスを用いてin vivo試験を行う。
|