2011 Fiscal Year Annual Research Report
リウマチ滑膜炎特異的に発現する新規滑膜増殖因子SPACIA1に関する研究
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22591088
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
藤井 亮爾 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10333535)
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Keywords | リウマチ学 / 細胞分子生物学 / 滑膜炎 / 細胞増殖 / 炎症 |
Research Abstract |
本研究では、当研究室で見出した新規滑膜細胞増殖関連因子SPACIA1について以下の1~3を明らかにし、リウマチ滑膜細胞増殖の分子レベルでの理解を目指している。 1、SPACIA1の発現機構について SPACIA1は滑膜炎に伴って滑膜細胞で発現誘導され細胞増殖の制御に関わる。その発現誘導機構を明らかにするために、SPACIA1プロモーター上の転写因子結合配列を明らかにしてきた。この複合体を精製、同定するために平成24年度は、前述の結合配列をプローブとしたゲルシフトアッセイ法により検出系を確立した。さらにイオン交換カラム、ゲル濾過カラムでの精製に成功しており、今後、精製度、収量を高めて、質量分析器により転写因子複合体を含む因子群を明らかにしていきたい。 2、SPACIA1による滑膜細胞増殖制御機構について SPACIA1による滑膜細胞増殖の制御を分子レベルで明らかにするために、まずSPACIA1が直接結合する因子をYeasttwo-hybrid法によりスクリーニングした。その結果、転写やスプライシング関連因子が得られ、SPACIA1は細胞増殖に関わる遺伝子の発現を制御すると予想された。しかしながら得られた因子数が多い(擬陽性の可能性)などの問題で解析が難航している。今後は生化学的にSPACIA1複合体を精製し、質量分析器より得られた情報と合わせて候補をさらに絞り込んでいきたい。 3、SPACIA1は関節リウマチの原因因子か? リウマチ動物モデルの1つであるコラーゲン誘導関節炎(CIA)を用いてSPACIA1の役割を調べるため、まずSPACIA1ノックアウトマウスをCIAに適したDBA1/J系統へ戻し交配をおこなった。すでに10世代の戻し交配を完了し、CIAに供するための繁殖をおこなっている。必要な個体数が得られ次第、CIAを試験し関節炎に対するSPACIA1欠損の影響を調査する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で記述したとおり、「1、SPACIA1の発現機構について」と「3、SPACIA1は関節リウマチの原因因子か?」は計画通り順調に実施されている。「2、SPACIA1による滑膜細胞増殖制御機構について」は、Yeast two-hybridスクリーニングにより得られた因子数が多すぎる、つまり擬陽性を多数含む可能性が高いなどの問題で解析が難航しているが、対応策により補完することで本来の目的を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「1、SPACIA1の発現機構について」と「3、SPACIA1は関節リウマチの原因因子か?」は計画通り研究を実施し、「2、SPACIA1による滑膜細胞増殖制御機構について」の問題は、SPACIA1複合体を生化学的に精製、同定することで対象となる因子を絞り込み、計画通り機能面からSPACIA1複合体を実証する。
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Research Products
(4 results)