2010 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性喘息肺での浸潤リンパ球のリアルタイムイメージング解析
Project/Area Number |
22591093
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長谷川 明洋 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80376376)
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Keywords | アレルギー / ぜんそく / 炎症 / イメージング / T細胞 |
Research Abstract |
アレルギー性炎症疾患(花粉症、アレルギー性喘息など)の発症は、Th2細胞依存的であることが知られているが、数の上では浸潤細胞の数パーセント程度であり、Th2細胞が実際の肺の炎症の場でどのような機能を果たしているのか、特にTh2細胞が浸潤するタイミングや浸潤の様式、浸潤したTh2細胞の活性化状態などのダイナミックな細胞動態はほとんど明らかになっていない。 本研究では蛍光を発するGFPトランスジェニックマウスのTh2細胞を移入するシステムを使って、気道炎症を起こしたマウスの肺でTh2細胞の浸潤を定量的に解析するためのリアルタイム可視化モニタリング系を独自に開発し、マウス喘息モデルにおいて抗原吸入後に起こるTh2細胞の浸潤の動態を時空間的に解析し、今年度に以下の結果を得た。 1.Th2細胞の集積とfocus形成を制御する因子の同定 OVA特異的TCRトランスジェニックマウス(OT-II)のナイーブCD4T細胞をin vitroで培養して分化させたTh2細胞の移入実験から、Th2細胞は抗原吸入後に肺に集積しfocusを形成してその後の好酸球浸潤や炎症巣形成を制御していることが明らかになった。次にTh2細胞集積やfocus形成を制御する分子の同定を行ったところ、気道炎症誘導前にICAM-1やVCAM-1に対する抗体を投与しておくと、Th2細胞集積やfocus形成が抑制されることが明らかとなった。また、ステロイド剤を投与した場合にもTh2細胞の浸潤が用量依存的に抑制された。 2.T細胞サブセットの浸潤様式の比較 Th2細胞以外の機能的T細胞サブセットについて抗原吸入後の肺への集積を調べたところ、Th1細胞も肺に集積することが明らかとなった。 3.ライブマウス肺内イメージングシステムによる喘息肺でのTh2細胞の動的挙動解析 マウスが生きた状態のまま肺の内部をビデオ撮影するイメージングシステムを独自に確立した。そしてこの系において左右の肺で血流量や細胞流入数に差がないことを確認した。これまでに喘息肺での蛍光Th2細胞のビデオ撮影を行い、Th2細胞の肺血管内でのrollingや組織内への浸潤の様子、focusの形成過程などの動的解析を行った。
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