2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22591097
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
松永 和人 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20347602)
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Keywords | 気管支喘息 / 喫煙 / 気道炎症 / 閉塞性障害 / 気道過敏性 / 酸化ストレス / 窒素化ストレス / ステロイド |
Research Abstract |
タバコ由来の大気汚染物質は喘息の難治化因子として重要であり、喫煙はステロイド薬の治療効果を減弱する。喫煙による酸化・窒素化ストレスはステロイド抵抗性に関与すると考えられている。本研究は、喫煙喘息と非喫煙喘息における気道炎症や窒素化ストレスの差異について呼吸機能を含めた比較検討を行ない、喫煙喘息患者の気道における病態生理学的特性を解明することを目的とした。 呼気一酸化窒素濃度(FENO)は喘息における好酸球性炎症の程度やステロイド反応性と関連し、喘息の補助診断に有用とされている。しかし、さまざまな宿主因子が測定値に影響を及ぼすことが、臨床応用の障害になると考えられていた。我々は、喫煙や鼻炎合併の影響を加味した喘息診断におけるFENOカットオフ値とその感度、特異度を算出し、これらの宿主因子が影響してもFENOが喘息補助診断の新たな検査法として有用であることを報告した(Allergol Int 2011)。さらに、ステロイド治療を行いながら症状評価では安定しているにも関わらずFENOが高値で遷延する喘息症例が存在する。我々は、このように気道炎症が遷延する喘息患者における独立した規定因子として、喫煙歴、末梢血好酸球増多、好酸球性副鼻腔炎を同定し、治療抵抗性の気道炎症に対する介入方法の展望を示した(Clin Exp Allergy 2012 in press)。テオフィリンは難治性喘息やCOPDの気道において、マクロファージや好中球から産生される炎症関連物質を抑制することが知られている。喫煙や気道炎症に伴う酸化・窒素化ストレスにより気道において増加する活性窒素種(peroxynitrite)は気道障害を増強することが知られているが詳細な機序は明らかでなく、テオフィリンの抑制効果も不明である。我々は、peroxynitriteが線維芽細胞からのmatrix metalloprotease2および9の産生を促進し、気道のリモデリング進展に寄与し得ること、さらにテオフィリンがNF-kBとHDACの経路を介してMMP-2および9の産生を抑制すること、を見出した(Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2012)。この結果は、窒素化ストレスによる喘息気道の障害の機序を一部解明するとともに、治療における展望を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床研究においては、現在の喫煙が呼気NO濃度測定値に影響を及ぼすが、その影響を加味しても喘息補助診断のツールとして有用であることを示し、呼気NO濃度がステロイド治療にも関わらず高値で遷延する症例の背景因子の一つとして喫煙既往が関連することを明らかにした。また基礎研究では活性窒素種が線維芽細胞からのmatrixmetalloproteaseの産生を促し、気道障害やリモデリングに関与すること、その産生はテオフィリンで抑制できることを機序も含めて明らかにした。それぞれの成果の論文化も進んでおり、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で明らかにされたように、ステロイド治療においても呼気一酸化窒素濃度が遷延して高値となる症例では、末梢血好酸球増多や好酸球性副鼻腔炎など血液内科や耳鼻咽喉科など他領域ともオーバーラップする問題点が存在する。今後、他領域との情報共有も視野に入れ研究を推進したい。さらに、基礎研究においては、タバコ抽出液を用いた研究で、喫煙刺激が気道上皮細胞の免疫応答に及ぼす影響についても検討を加える。
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Research Products
(10 results)