2011 Fiscal Year Annual Research Report
形質細胞様樹状細胞を活性化するアジュバントを取り入れた感染症粘膜ワクチンの開発
Project/Area Number |
22591105
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊保 澄子 福井大学, 医学部, 助教 (80151653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 健司 福井大学, 医学部, 助教 (40236419)
前山 順一 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 主任研究官 (40199641)
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Keywords | CpG DNA / 粘膜ワクチン / 形質細胞様樹状細胞 / 成人結核 / 免疫刺激オリゴDNA / TH1 / 結核菌タンパク質 / ブースターワクチン / IFN-α |
Research Abstract |
研究者らが開発した免疫刺激オリゴDNA G91[特許3976742号]は、形質細胞様樹状細胞(pDC)にIFN-αの産生を誘導し、G91と共培養されたヒト扁桃細胞やG91を経鼻投与されたマウスではpDC依存性にTh1型免疫が誘導される。このことによりG91は、pDCを介して粘膜を含む全身に防御免疫を誘導する新しいタイプのワクチンの開発に応用が期待される。 昨年度の本研究において、ジフテリアトキソイドを抗原として、G91をアジュバントとしてマウスに経鼻投与すると、pDCの存在下で抗原特異的な粘膜免疫とTh1免疫が誘導されることを明らかにした。本年度は、成人肺結核予防ワクチンの開発を具体的目標に掲げ、G91の有用性について検討した。 始めに、成人期の結核免疫の低下を模倣するモデルモルモットを作成した。次に、既知の結核菌抗原タンパク質をG91と共にまたは単独で皮内投与し、8週後に結核菌抗原タンパク質に対する免疫反応を測定した。その結果、結核菌抗原とG91を同時投与されたモルモットでは、抗原のみを投与されたモルモットに比べて、強いDTH反応が誘導されることが示された。同組成をマウスに経鼻投与するとTh1優位の免疫が成立した。 我が国における成人肺結核症の増加の背景には、乳幼児期に接種したBCGワクチンによる抗結核効果が加齢とともに減弱することが要因のひとつとして挙げられる。しかし結核免疫の増強を意図したBCGそのものの再接種は重大な副作用のため困難である。今回得られた結果は、適切な抗原を選択し、G91をアジュバントに用いると、成人期の結核根絶を目指す経鼻ワクチンの創製が可能になることを示唆しており非常に意義深い。今後、動物を用いた感染抵抗性実験により、さらにヒトの細胞を用いた検証実験により、G91の粘膜アジュバントとしての有用性を確立し、成人肺結核予防ワクチンの開発への応用の可能性を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた感染実験は既に開始されているが、24年度に継続して検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で得られた成果を、JSTA-STEPハイリスク挑戦タイプと連携して、成人結核予防ワクチンの開発に応用する予定である。
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Research Products
(14 results)