2012 Fiscal Year Annual Research Report
形質細胞様樹状細胞を活性化するアジュバントを取り入れた感染症粘膜ワクチンの開発
Project/Area Number |
22591105
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊保 澄子 福井大学, 医学部, 講師 (80151653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前山 順一 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (40199641)
竹内 健司 福井大学, 医学部, 助教 (40236419)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ワクチン / 粘膜 / 結核 / アジュバント / CpG DNA / 形質細胞様樹状細胞 |
Research Abstract |
粘膜ワクチンは、感染症の発症・重症化の予防ばかりでなく、感染阻止にも有効であることから、将来のワクチンとして注目されている。これまでに、免疫刺激オリゴDNA"G91"「特許3976742号」を、ジフテリアトキソイドと組み合わせてマウス鼻腔に投与すると、抗原特異的な抗体反応が、形質細胞様樹状細胞(インターフェロンアルファを産生する樹状細胞)を介して、粘膜を含む全身に増強することを明らかにした。次いで、結核菌の抗原タンパク質と組み合わせてモルモット皮内やマウス鼻腔に接種し、G91がTh1免疫を主体とした細胞性免疫の誘導を増強することを明らかした。 本年度は、G91を、成人結核の予防ワクチンに有用生が高いと思われる結核菌抗原タンパク質と共に、BCG免疫後8週経ったモルモットに3週毎3回皮内投与した。最終免疫から更に3週後に結核菌を噴霧し、5週後に剖検し、肺、脾臓の病変を観察した。また、4週間の還元培養による菌数測定により、結核菌に対する感染抵抗性を検討した。その結果、抗原とG91を追加免疫したモルモットでは、追加免疫をしなかったモルモットや抗原のみを追加免疫したモルモットに比べて菌数が少なく、G91は成人結核に対する防御免疫の誘導をも増強する可能性が示された。 次に、健康な成人の末梢血単核球を結核菌抗原タンパク質及びG91と共培養し、培養細胞のT-bet (Th1細胞への分化を促進する転写因子)、GATA-3(Th2細胞への分化を促進する転写因子)、及びIL-17(Th17細胞が産生するサイトカイン)の発現を検討した。その結果、G91は、ヒトにおいても、Th1型免疫反応を増強する可能性が示された。 形質細胞様樹状細胞を活性化するG91は、抗体反応や細胞性免疫の誘導を目的とした感染症粘膜ワクチンの開発に応用が可能であると思われる。特に成人結核ワクチンの開発への応用が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部研究手法を変更したが、これにより研究が加速し、達成目標に近いレベルまで進展した。 形質細胞様樹状細胞の機能制御に関する研究は予定通り開始されている。この研究を次年度に継続することにより、感染症粘膜ワクチンの開発可能性が明らかになることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した免疫刺激オリゴDNA"G91"を経鼻投与ワクチンのアジュバントとして用いることにより、結核の経鼻ブースターワクチンが開発可能であることが示された。実施中のJST A-STEP ハイリスク挑戦タイプ(~平成25年10月)との連携により研究を加速し、JST A-STEP 育成研究に繋いで実用化を目指す。 さらに、学術的観点から、G91の作用メカニズムの研究を継続する。
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