2011 Fiscal Year Annual Research Report
デングウイルス感染症における血小板貪食クリアランスの分子基盤の解明
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22591106
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大石 和徳 大阪大学, 微生物病研究所, 特任教授 (80160414)
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Keywords | デング / 二次感染 / 血小板減少 / アポトーシス / アポトーシス血小板クリアランス |
Research Abstract |
デングは熱帯地における重要な公衆衛生上の問題であり、その血小板減少の機序は未だ不明である。フィリピン、サンラザロ病院において2009-2010年の期間に10歳以上の81例のデング二次感染症例を登録し、デングショック症候群は除外した。末梢血血小板数、血中thrombopoietin(TPO)、フローサイトメトリー法による血小板アポトーシス、ex vivoの系によるマクロファージによる血小板貪食を急性期(発症から4日)、回復早期(発症から8日)、回復期(発症から12-15日)に測定した。また、38例の年齢をマッチした健常者を登録し、同様の検査を実施した。血小板貪食阻害実験にはフォスファチジルセリン(PS)を認識する架橋分子であるMFG-E8の変異蛋白質D89Eを用いた。血小板アポトーシス(%)、血小板貪食率、血中TPOは急性期、回復早期に回復期や健常者より有意に増加した。末梢血アポトーシス血小板数は、急性期ではなく、回復早期や回復期に、健常者に比較して有意に増加した。急性期と回復期早期の血小板アポトーシス(%)と血小板貪食率は有意に相関した。また、血小板貪食はD89Eにより有意に低下した。In vitroの系でもDVによる血小板アポトーシスが認められたが、日本脳炎ウイルスでは認められなかった。 本症において、末梢血アポトーシス血小板が生体内ではPS認識機構を介して貪食クリアランスされることが示唆されが、回復期においてはTPOによる血小板産生がこのアポトーシス血小板の貪食クリアランスを凌駕し、末梢血小板数の正常化に向かうと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標であったデングウイルス二次感染症の血小板貪食クリアランスの分子基盤が明らかになったが、未だデングウイルスの血小板や骨髄中の巨核球に対する感染機序が不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年までのフィリピンにおける研究からデングウイルス二次感染症の血小板貪食クリアランスの分子基盤が明らかになった。しかしながら、本症におけるアポトーシス血小板のクリアランスが血小板減少の原因とは考えられなかった。このため、今後は末梢血中の血小板の起源である巨核球に対するデングウイルスによるアポトーシス誘導について検討を進める。しかしながら、ヒト由来の巨核球をデング患者や健常者から得ることは困難なので、マウスの骨髄由来の巨核球を用いた検討を実施する。さらに、デングウイルスのヒト血小板への感染様式についても試験管内で検討する。
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Research Products
(3 results)