2011 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫系の活性制御システムの構築:難治性肉芽腫疾患の新規治療法開発
Project/Area Number |
22591107
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
田辺 剛 島根大学, 医学部, 准教授 (80260678)
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Keywords | 自然免疫 / NOD2 / クローン病 / サイコイドーシス |
Research Abstract |
自然免疫関連疾患の解析では、日本人特有のNO2SNPについて解析した。特にクローン病との相関は認めなかった。また欧米で、自然免疫因子の異常に基づく肉芽腫形成疾患と同様の機序で発症することが報告されている移植片対宿主病についても解析したが、相関を認めなかったが、特に骨髄性白血病の発症に影響することが明らかになった。特にこのNOD2 SNPは、これまで自然免疫系の活性の指標としてきたNF-kBの変化は認めなかったため、今後の自然免疫系の活性の測定には他の手法が必要であることが明らかになった。以上の成果は論文としてInternational Journal of Hematologyに報告し、日本生化学会総会においても発表した。 また自然免疫系の活性制御を行うために、クローン病や消化器がんにおいて低下したNOD2の活性を補充する変異体を作製した。通常は大量発現させるとバックグラウンドが高くなり、リガンドの無い状態でも高活性を示すが、今回作製した変異体は大量発現してもバックグラウンドは高くならないため、臨床応用への道が開けた。 さらにNOD2のドミナントネガティブ体も作製した。特に最近自己炎症性疾患という概念が臨床で認知されはじめたため、その概念に含まれるNOD2過剰発現に起因するBlau症候群の治療への応用が検討可能と考えた。 サルコイドーシスモデルマウスを用いた病態解析は、ミシガン大学の病理学の協力を得て進めている。特に細胞内寄生生のP.acnesに対する生体の応答を詳細に解析している。また自然免疫系の活性を制御するアゴニスト・アンタゴニストの合成は、産業技術総合研究所の協力を得て進行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画と比べて、後で行うことになっていた自然免疫系の活性制御法の開発などが先に進み、症例における遺伝子変異の解析が後になっており、順番がやや異なってきてはいるが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。論文4報、4つの学会での報告を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体として最終的な目標である自然免疫系の活性制御による臨床応用への実現に向けて、計画を遂行していく。 特に大きな問題点は現在のところ無いが、自然免疫系の活性制御を行うアゴニスト・アンタゴニストの作製に関しては細かい技術に関して不足する点が出てきている。現在、その点を補うために、産業技術総合研究所の協力を得て進行している。また動物実験に関しては、ミシガン大学病理学の協力を得て進める。
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