2011 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞の分泌膜小胞を用いた新タイプ治療用ワクチン:慢性ウイルス感染症への展開
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22591111
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
守屋 修 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (40049862)
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Keywords | エキソソーム / 樹状細胞 / 刺激因子 / NK細胞 / 細胞傷害性T細胞 / HHDマウス |
Research Abstract |
樹状細胞由来の分泌型膜小胞であるエキソソーム(exosome:EX)を安全で有効なC型肝炎ウイルス(HCV)慢性感染症の免疫治療用新規賦活剤としての可能性を検討している。HCVタンパク断片を発現する組換えアデノウイルス(Rec Ad-NS3-5A:RecAd)とLPS,IL-12,IL-6+TGFβ,CD40L,CpG,ATP,あるいはPhorbor ester+Ionmycinなど樹状細胞刺激因子を併用して樹状細胞を刺激後、遊離するEXをHLA-A2発現トランスジェニックマウス(HHDマウス)に投与し、EXに反応する脾リンパ球数をNile Red染色法を用いて計測した。RecAdとLPS,IL-12,CpGとの併用刺激でEX反応細胞数の明らかな増加をみた。In vitroでの脾リンパ球においても同様の傾向をみた。RecAdと樹状細胞刺激剤の有用な組合せについては前年度報告した細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導活性能とほぼ一致した結果でもあった。リンパ球活性化マーカーのCD44、あるいは逆に細胞活性化で消失するCD60Lの陽性細胞数においてもEX刺激の影響は同様の結果を得た。EXの細胞内への刺激伝達に関与するレセプターは既にLFA-1が知られているが、さらに樹状細胞上の受容体の一つであるTLR-2について抗体によるレセプター阻害実験(樹状細胞サイトカイン分泌量の測定)よりEXの刺激伝達能について検討した結果、EXはLFA-1に加えてTLR-2も受容体として機能している可能性が示唆された。現在、細胞表面刺激後の細胞内刺激伝達系の流れについてもDuolinkを用いて検討している。EXの構成タンパクの検討は各種標識抗体を用いてdot blott法により定量した。EXの基本的構成成文のCD63,CD81,リンパ球刺激因子のCD44、抗原提示に関与するI-Ab,H-2k並びにNK細胞刺激因子のRAE-1δ、MICA/B量を定量した。興味あることに樹状細胞刺激後の日齢で刺激因子の産生量は異なり、刺激後2-3日で比較的高い活性をもつEXが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞由来の免疫応答を亢進するエキソソームの調整がほぼ終了していること、既知の細胞表面の受容体以外の成分の検出がなされたこと、免疫応答の初期反応にエキソソームが特に有効である情報が得られつつあること。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策)エキソソームによる免疫刺激により誘導されるNK活性、細胞傷害性T細胞(CTL)が生体でのウィルス排除に有効に機能するかを検討する。TH1誘導性のサイトカイン産生量、エキソソームによるcross presentationによる抗原提示能をみる。細胞内でのエキソソーム刺激による刺激伝達経路を明らかにする。
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Research Products
(1 results)