2010 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染症の抗菌化学療法に対する宿主細胞の影響の解析
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22591114
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹村 弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (80301597)
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Keywords | THP-1 / Staphylococcus aureus / 薬剤感受性 / 抗菌薬 / カルバペネム薬 / 不活化 |
Research Abstract |
主として、ヒトマクロファージ様細胞株THP-1細胞を用いた感染実験モデルの確立に重点を置いた。細菌はMRSAを含むStaphylococcus aureus(SA)を用いた。1×10^6cell/mLのTHP-1に1×10^5CFU/mLのSAをRPMI+10%FCS中で感染させた後、抗菌薬存在下(アルベカシンジ200μg/mL)で3時間培養し細胞外のSAを極力取り除いた。その後、低速遠心と洗浄を繰り返し、グラム染色、アクリジンオレンシ(AO)染色(蛍光顕微鏡)鏡検上で、遊離した菌体はほとんどなく、多くは細胞に付着あるいは取り込まれた菌体(cell associated SA : CASA)という状態にした。無細胞で同様の処理を行った対照でのSAの菌数は0~2×10^2CFU/mLで、細胞(+)では0.5~1×10^5CFU/mLのSAが検出され、99%以上がCASAと考えられた。このCASAに対し、96穴マイクロプレートを用いた通常のMIC測定と同様の評価系で、cell associated MIC(CAMIC)測定法の確立を試みた。RPMIは本来細菌培養用の培地ではないが、血清無添加培地でMH培地と同程度の発育がみられた。CAMIC測定系に入るTHP-1は5×10^4cell/well程度で、その沈渣はCAMICの判定に影響しない。この評価系で様々なSA菌株の各種抗菌薬に対するCAMICを検討していたところ、ある種の抗菌薬ではMICに比べCAMICが極端に高いことが判った。特にカルバペネム薬では数100倍の値を示すことが判り、この原因の究明を試みた。その結果、一部のカルバペネム薬、ペニシリン薬ではTHP-1細胞と共培養すると数時間で抗菌活性を失うことが判明し、現在抗菌薬を失活させる細胞の種類、失活する抗菌薬の種類などを広く検討し、そのメカニズムの解明に研究の主眼を置いている。
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