2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗クリプトコックス細胞表層蛋白抗体の持続感染診断法ならびに重症感染症治療への応用
Project/Area Number |
22591115
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大野 秀明 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (20325640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山越 智 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (00212283)
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Keywords | 感染症 / クリプトコックス症 / Cryptococcus neoformans / 潜伏感染 |
Research Abstract |
Cryptococcus neoformansvar.grubii(以下C.neoformansとする)の分泌蛋白ならびに細胞壁表層に存在する蛋白分子を網羅的に検索しこれらを標的とする抗体作製を行い、C.neoformans持続(潜伏)感染菌のin vitro検出系の開発や重症感染症への治療応用を目的とした。本年度はSST-REX法で同定された47遺伝子のうち、SST法での発現数が29個と最も多かったものクローン(CnSST-1)を検討対象とした。このCnSst-1pの局在を確認したところ、in vitro培養液上清分画では検出できなかったが、菌の細胞壁、細胞質分画においては検出することが可能であった。このことはCnSst-1pが分泌されていない可能性も考えられるが、培養条件や宿主細胞の違いが影響しているものと判断した。一方、CnSST-1は嫌気条件下で菌発育が抑制された状態での発現が多いと推測されたため、本検討での標的遺伝子、標的分子とした。このCnSst-1pに対するモノクローナル抗体はACTGen社との共同研究で行った。方法として、マウス(Balb/c,male,9wあるいはBalb/c,female,1Ow)を用い、免疫原にはCryptococcus neoformans由来CnSST-1とMPL遺伝子との融合遺伝子を導入、発現させたBa/F3細胞、細胞免疫原は1×10^6~2.5×10^6cells/回にて、隔日で3回、あるいは4回免疫した。採取したリンパ球をミエローマ細胞とPEG法にて融合し、得られたハイブリドーマをHAT培地にて選択し、コロニーを形成させた。その後、免疫原に対する反応性をフローサイトメトリにより検証した。現在までにこの方法で計5クローンのモノクローナル抗体を得ることができ、現在これらを用いたELISA系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においてはSSTクローンに対するモノクローナル抗体の精製、ELISA系の構築までを目標としていたが、おおむね目標とする過程までは到達したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進として、昨年度に作成したモノクローナル抗体を用いたELISA系の反応性を検討することを第一に行う。また、このモノクローナル抗体がクリプトコックス症の治療、重症化への進展防止に何らかの効果を有するかどうか、マウスモデルを使用し検討する。ELISA系構築について困難な場合は通常のWesternblot法においてクリプトコックスCnSst-1pが検出可能かどうか、感染マウスの血清等を用いた検討を行う。
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